【短編小説】フェミニストVSミソジニスト

堀井友治

本編

時は20XX年、世界は2つの国に分かれ混沌を極めていた。


           ~フェミニズム帝国~


兵士:「女王様ぁ、報告があります。」


女王:「なにようですか」


兵士:「ミソジニーのやつら、自身の国内でこんな選挙ポスターを配ってるんです」


兵士は女王にポスターを見せた。2次元の女の子が描かれたポスターだ。


女王:「む、胸が、でかい...!」


女王は激昂した。


兵士:「奴ら女嫌いとか謳っているくせしてこんなセンシティブな絵を選挙に使っているのです、否悪用しているのです。正直吐き気がします」


女王:「ムキぃいいいいいいふざけよってぇえ!!」


兵士:「それだけではありません、先日我が国とミソジニー王国の国境で売国奴が見つかりました、奴ら自身のポルノ写真を売りつけることで金儲けしていました。」


女王:「我が国では身体を売ることを法律で禁止しているのに、我が国民が、よりによって憎っくきミソジニーの奴らにそんなはしたないことをするとは、解せぬ、解せぬ解せぬ解せぬ!」


兵士:「私としても残念です、女性が不当な扱いを受けないよう女王がこのすばらしい国を建国したというのに、何故だ、何故我が国でこんな売国奴が生まれるのだ」


女王:「男どものせいだ、きっと男どもが我が民をたぶらかしたからだ、でなければ我が民があんな風呂にも床屋にも行ってないような下賤なやつらと取引するわけがない!」


兵士:「しかし女王様、こちらを見てください」


兵士は売国奴があるものを見せた、売国奴が取引に使ったとされる件の写真だ。


兵士:「見てください、この写真の、この売国奴女の、このなんか鼻につく感じ、私かわいいですって媚びてるみたいな感じぃい!」


女王:「ムキぃいいいいいい訂正、訂正訂正!売国奴マジ許すまじ、嫌い嫌い嫌い嫌ぁああああい!私たちはこんなに頑張っているのに、仕事もおろか育児もめちゃくちゃ大変だというのに、こんな簡単に稼いでるこいつらも、男どももマジキモい、気持ち悪い!!」


兵士:「どうしますか女王」


女王:「答えは一つよ」



            ~ミソジニー王国~


隊士A:「女ったらいつもそうだ、俺たちみたいな陰キャチー牛を馬鹿にするだけ馬鹿にするくせに、いざ自分たちが傷つくと誰かに泣いてすがって自分悪くありませんみたいな行動とりよる、質が悪ぃ、そう思いますよね陛下」


陛下:「ああ、女というのは実に馬鹿だ、俺らみたいなのが女を見つめると気持ち悪がられるってのによ、イケメンに対しては一気に態度変えよる、そいつの性欲によって後にお前の人生むちゃくちゃになるってことをしらずになぁ」


隊士A:「そうっすそうっすよねぇ!」


陛下:「それに俺らが作成した選挙ポスター、奴らフェミニズム帝国にバッシングされてるらしい、奴らには一切関係ねぇのになぜ首をつっこんできやがる、腹立たしい!」


隊士A:「これだから女ってのは、膣売りつけることでしか生きてられないしょーもない生き物なんしよ」


陛下:「うむ、そうだ。この世はイケメンかそうでないかで人生決まるんだ、ただしイケメンに限る、これほどまでこの世の真理を表した言葉など俺はみたことがない」


隊士A:「マジでそれでっせ、イケメンはいろんな女どもたぶらかしてんのに何故我々はこんなにモテないんすか、ゲーム上手いし優しいし、身体もデブでなく細いし、性知識もあってきっとプレイも上手いはず、こんな魅力的なんになんでっすかぁ!」


陛下:「それが女という醜き生き物の生体だということだ、奴らは顔が良ければモテるが俺たちはそれだけじゃねぇ、いろんなものが求められるし一つでもやらかすともう崩れ去るジェンガブロックだ、こんなの許せねぇえ...」


隊士B:「大変です陛下ぁああ」


別の隊士が息を切らしながら駆けつけた。


陛下:「どうした?」


隊士B:「大変です、我が国の隊士たちがフェミニズム帝国と内通していることが発覚しました!」


陛下:「なんだと!?」


隊士B:「こちらが件の写真です!」


エッチな女の子のブロマイドであった。


陛下:(うっひょぉおこれはたまらん、エロいのう...いやいかんいかん、一国の王がエロ写真で揺らいではミソジニーの長として示しがつかん)


陛下:「解せんな、燃やしてしまえそんなもの」


隊士B:「ははぁ」


隊士A:「まさか売国奴とは...」


陛下:「これは何かの陰謀論だ」


すると陛下はこんなことを呟いたのだ。


隊士A:「ん?どういうことですか」


陛下:「奴ら女どもはこうして我が民を誑かすことで巨額の資金を得ているのだそうに違いない!」


隊士A:「な、なるほど」


陛下:「俺はもう堪忍袋の緒が切れた、女ども絶対許すまじ...」


フェミニズム帝国とミソジニー王国、相反する国がこの時はじめて意見があった


女王・陛下:「よろしい、ならば戦争だ!」


かくして2つの国の戦争が勃発した。熾烈な戦いが始まる。



兵士:「キモいんだよ男ども、風呂入れや!」


隊士:「おめぇらこそ支離滅裂なこと言ってんじゃねぇ!」


兵士:「追いLINE 、長文LINEうぜぇえんだよ」


隊士:「そりゃおめぇらのツイートもそうやろがい!」


チュドーンボカーンチュドーンドカーン!!


兵士:「顔が良いってだけで一目ぼれして、キモい視線送ってんなチー牛がぁ!」


隊士:「おめぇらこそ専業主婦という名のニートを、さも大変大変だって自慢してんじゃねーよ気持ち悪い!」


兵士:「生理の痛みもつらみも分からないやつに、私らの気持ちがわかってたまるかぁあああ!」


隊士:「こっちだってチンチン向き立てはそれなりに痛いんじゃぁあぼけぇええ!」


激化する戦争、肥大化する悲しみ、その時1人の少年が立ち上がった。



少年:「やめてくださぁあああああい!!!」


あまりにも大きすぎる叫びに一同は一旦静寂となる。


少年:「もうやめましょうよぉこんな戦争、まるで意味がないじゃないですかぁあ!」


兵士:「チー牛が一体なに?」


隊士:「なんだてめぇ?」


少年:「フェミニストもミソジニストも、本当はモテたかったんじゃないんですかぁあああ、愛されたかったんじゃなかったんですかああああ!でも現実は上手くいかず、周りの人たちはまるで自分を置いていくいくかのようにどんどん前に進んでいく、それが悔しかったんじゃなかったんですかぁあああ!」


兵士:「うるさいわね!」


隊士:「なんだとゴラぁあああ!」


少年:「でもモテている人だって悩みはあるし、苦労も葛藤も努力も経験してきたんですよ、何度打ちのめされたことか、我々が死ぬほどめんどくさい人種であるみたいに、どんな人間もそんな単純じゃないんですよぉおお、皆複雑な心境を抱えながら世の中生きてるんですよぉおおお」


少年:「だからぁ、だから皆前を向いてがんばりましょうよぉおおお、こんなくだらない戦争してるかよりはよりずっと...」


兵士:「うるさい三下!」


隊士:「俺らの人生知らないで頭が高いんだよぉおお!」


少年:「ごふぶっ!」


少年は矢に刺され絶命した。


彼らフェミニストとミソジニストの戦いは続く、しかしあの時少年が口にした言葉は一部の兵士や隊士には届いたそうで、少年の言葉を旗に掲げた第3勢力まで現れるようになった。人間とは実に複雑なものじゃ、複雑と書いてコンプレックス、人はコンプレックスに打ち勝つことが人生の戦いなのじゃ。













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【短編小説】フェミニストVSミソジニスト 堀井友治 @horijirou3

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