星町列車
功琉偉つばさ @WGS所属
星町列車
気がつくと、見慣れないところに座っていた。どうやら列車のようだ。
「おや、やっと起きたんだ」
声のする方・・・・・・左側を見ると初めて見る女の子が平然と座っていた。
「うわっ、君は・・・・・・誰?」
僕はとても驚いた。
「私は
「僕は
自己紹介はしてみたものの色々と戸惑っている。ところでここはどこなのだろうか。
「ここ?ここは星町列車の中だよ。銀河の彼方まで送ってくれる電車なんだ」
まるで僕の心を読んだかのように話しかけてくれた。
「ね、外を見てご覧」
そう言われて窓の外を見てみると確かに宇宙のようだった。どこまでも深い闇が続いていて、その中にポツポツと小さな光が見える。
「本当だ・・・・・・」
なんでこんなところにいるんだっけ。そんなことがふと頭に浮かんだが、窓の外を眺めているとそんな事どうでも良くなった。
「次は水瓶座、水瓶座」
そうアナウンスがかかって列車が停まった。なにかどこかで聞いたことのあるような出来事が僕の身に起きているらしい。
「この列車はどこまで行くんだい?」
「どこまででも、あなたが行きたいところまで」
君はニッコリと微笑んでそんな事を言った。
「なんでこの列車に乗ったんだろう」
「あなたが乗りたいと思ったからこの列車に乗ったのよ。それだけじゃない」
また同じようにニッコリと微笑んでいた。
「なんか、不思議な場所だね。心が落ち着くよ」
「ふふっそうでしょ。だってこれ、私の列車だもん」
窓の外は相変わらず吸い込まれるような深い闇が広がっている。
◇◆◇
「あっ、そろそろ時間みたいだね」
「えっ? なにが?」
しばらくした後、サウザンクロス(南十字星)駅の近くまで来たところ、そんな事を言いだした。
「ここは現実世界ではないんだ。あくまでも星町。あなたは本当に生きている場所に帰らないといけないの」
「いつまでもここにいたらだめなのか?」
「そうだよ。たまには逃げても良い。でもいつかは現実に立ち向かわないと」
「そっか・・・・・・」
「またいつでもあなたが望んだらここに来れるからね。待っててあげる。この星町列車で」
そう君は言うと世界がまどろんできて、いつの間にか元の世界に戻ってきていた。
太陽が眩しい。
「またいつか乗れるかな。明の列車に」
不思議な不思議な一夜の物語。
星町列車 功琉偉つばさ @WGS所属 @Wing961
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