和解
翌日、すぐに
「そんな……!」
何を言われたか理解して、八重は飛び上がって驚いた。神から謝罪を受ける言われなどない、と慌てふためく。
「いいえ、いいえ、畏れ多いことにございます! 私の方こそ、ものを知らず、何をどう許しを請えば良いかもわからずに、まあ、大変申し訳なく……!」
(俺は、こんな小さな人の子の、何をそんなに恐れて――)
強い忌避感と、それを発端とした敵愾心は、恐れの現れだった。今更ながら、
あの日、上天が灰と化した災厄の時。
その嫌悪感が焼き付いているのだ、と
「いいや、俺が悪かったのだ。……もう間違えぬ、巫女殿」
「ありがとうございます、
「うん」
「蜂蜜が採れたら、その、お前にやる。詫びの印だ」
「はちっ蜂蜜だなんて、そんな!」
八重は
「そのように貴重なもの、とてもいただけません……! どうぞ、白陽様に全てお納めください!!」
「気にせず受け取って、食えばいい」
「そんな贅沢、きっと腹を壊してしまいます!」
「壊すも何もないだろう」
「それは、そうなのですが……」
目をうろつかせ、おたおたする八重に、
「なら、いずれ何ぞ考える。……俺は白陽様の処へも行かなければ」
「どうか、なさったのですか?」
気鬱そうな
「…………叱られにゆく」
「まあ」
意気消沈した物言いに、八重は目を瞬いて、つい笑い声をもらした。まるで里の子どものような物言いだ、と、気安さと懐かしさを感じたのだ。
「いいえ、申し訳ありません。神様も人のような事を言うのだと思って、つい。叱られるのは、嫌ですものねえ」
「嫌に決まっている……」
そもそも
「気には、ならんのか。何故上天が灰と化したのか」
「――それは」
八重は
「気にならぬ、と言えば嘘になります。ですが」
八重は下を向き手を揉んで、暫くためらったあとに真っ直ぐ
「お教えいただける日を、待とうと思っております」
「そうか……」
八重が信心深いことは、米を食えばわかった。八重は何も知らないと、それも
白陽が何故八重に事情を伏せているのか、
(巫女殿は、これから事実を知ることになる)
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