第6話 バレンタインデーと学級閉鎖

次の日、純恋は皐月とバレンタインのチョコを交換しあっていた。

すると「純恋〜俺にチョコは?」と賢人がチョコをねだって来た。

「はい。」純恋は箱に入ったオシャレなチョコを賢人に渡した。

「さんきゅー。手作り?」「市販だよ。手作り出来ないの」純恋はふふっと笑った。

「でも、本命チョコとして受け取っていい?」賢人はヒヒッと笑った。

純恋は頬を赤く染め「か、勝手にしてよ」と言い顔を背けた。

二人を見ていた皐月はふふっと笑った。

教室にいた、賢人の取り巻き達も笑っていた。

すると「純恋、こっち来て」と柊馬が純恋の腕を掴んだ。

「え、なに?」純恋は柊馬を見上げた。

「いいから」柊馬は純恋の腕を引っ張った。


◇◇◇◇


「どうしたんだろう?勿忘さんと純恋ちゃん」皐月は首を傾げた。

賢人は2人が去った後を見つめた。

そして、取り巻きの方に目線を移し、静かに笑いあった。


◇◇◇◇


純恋は人気の少ない所へ手を引かれた。

「離して!!」純恋は柊馬の手を振りほどいた。

柊馬は表情を変えることもなく、純恋を見つめた。

賢人との時間を邪魔をされ、純恋の中からは、なんとも言えない感情が巡ってきた。

抑えが効くのが難しくなり、純恋は深呼吸をし、無理矢理笑顔を作った。

「柊馬兄…一体何があったの?」純恋の口から出る音色は、穏やかなものだった。

柊馬は純恋に近づいた。

「その猫被りバレてるよ?」柊馬は純恋の髪に触れると、純恋の耳にかけた。

耳にはピアスが10個。

純恋は表情を変えることも無く、「そっか…」と言うだけだった。

柊馬はそっと純恋の耳元に唇を寄せた。「唇ピアスしとかないと…穴が塞がるよ」


◇◇◇◇


終礼の時間。

プリントが配られ、純恋は不思議そうにプリントを読んだ。

「学級閉鎖のお知らせ…?」「マジで?!」賢人は目を輝かせた。

「やった〜。純恋ちゃん、暇な時電話しようね」皐月はぎゅっと純恋の手を握った。

純恋は微笑み「もちろん」と頷いた。

「俺は、バスケの練習頑張るわ」賢人はニッと笑った。

純恋は頬を赤らめつつ「頑張って。吉田くん」としっかりと伝えた。

◇◇◇◇


柊馬の目をかいくぐって、純恋はスーパーで買い物をしていた。

野菜や肉やら色々なものを買い込んだ。

いつの間にか、2袋にどっさりと入っていた。

純恋は重さに耐えつつ、歩き出そうとすると「純恋〜」と呼ばれた。

声をした方を向くと、結翔が純恋の傍に駆け寄った。

「結翔兄…」純恋は溜め息が漏れた。

「柊馬から聞いた。学級閉鎖になったんだろ?俺もしばらくは、家にいるからさ」結翔はニヤッと笑った。

純恋は何も言わずに、歩き出した。

「純恋、重いだろ?」結翔は純恋が持っていた、荷物2袋を代わりに持った。

「ありがとう」純恋は学生カバンを持ち直した。

「学級閉鎖…楽しみだな?」結翔は純恋の耳元で囁いた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

恋と真実 関ケ原 しらす @sirasu915

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る