第5話 恋の始まり
音楽の時間が起きたその日の夜。
純恋はリビングでぼーっとしていた。
『俺が彼氏だったらどうする?』と賢人の言葉が頭の中で繰り返された。
その言葉が浮かび上がる度に、純恋は頬を赤らめ、クッションを抱きしめた。
その姿を見ていた、結翔は苦笑した。
「何があったんだよ。感情豊かに」「えっと…その」純恋は賢人の顔が浮かぶと頬を赤らめた。
そんな純恋の前に結翔は腰を下ろすと「その男どんなヤツ?」と聞いた。
純恋は頬を赤らめたまま「男バスの子で…黒髪の爽やかな男子…」と答えた。
結翔は「へー」っと少し笑うと「俺は…そいつ辞めとくべきだと思うけど?」と純恋を見つめた。
なんて事を言うのだろう。
純恋はムッとして「結翔兄に何がわかるの?」と言い返した。
結翔は面白がるように純恋に「賭けをしてやるよ」と提案した。
「俺はお前が耐えきれないに賭ける。純恋は実るに賭ければいい」結翔の提案に純恋は自信満々に「その賭け、わたしが勝つよ」と言った。
結翔は「どうだか。その猫もいつまで持つかな?」と耳元で囁くとベランダに出た。
◇◇◇◇
次の日「なぁなぁ、純恋〜」と賢人はいつものように話しかけてきた。
「なに?」純恋もいつも通り返事をした。
「明日バレンタインじゃん〜チョコくれよ。俺チョコ貰えないんだけど?」と言われた。
純恋は「チョコなんて用意してないけど…?」と否定したが、「良いじゃん。ポッキーでもいいからさ〜」と賢人は引かなかった。
純恋はため息を吐き「わかった」と頷いた。
「やった〜。楽しみにしてる」賢人はニッと明るい笑みを浮かべた。
その笑顔に純恋はドキッとした。
やはり、賢人は人懐っこさが、惹かれる秘訣なのだろう。
「あ、そう言えばさ、今度、バスケの全国大会あるんだけど、スタメンー決まりそうなんだ」と目を輝かせた。
純恋は目を丸くした。
「すごいね。いつ発表なの?」「3月の14。終業式の1週間前」賢人はメモを見つつ答えた。
純恋は「頑張って。吉田くん、バスケ上手だもんね」と微笑んだ。
「おう。頑張るな」賢人は明るい笑みを浮かべた。
その笑みを見ると、純恋は更に心臓が高まった。
やはり、自分は賢人に恋をしているのかと自覚させざるおえなかった。
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