第4話 面白い日常と恋の気配
「純恋ちゃん、この問題ってどうやって解くの?」皐月は振り返り、純恋に聞いた。
ちなみに、皐月は純恋の席の前だ。
「純恋に聞くのは辞めとけ。純恋、内職してたから」隣で賢人は、いたずらっぽく笑った。
純恋はふふっと笑い「バレちゃった〜」と言い、ノートを閉じた。
「もしかして小説?新作?」皐月は目を輝かせた。
「新作。この新作で小説やっと出版出来るかもしれないから」そう話す、純恋の目は夢に溢れていた。
隣で聞いていた、賢人は目を丸くした。「すげぇ。小説の出版社にスカウトされた?」「うん。1回出したら、良かったけど、もう少しインパクトある物語が欲しいって言われちゃって…大変なんだよね」純恋は苦笑しノートをペラペラとめくった。
一応、色んなネタを書いているのだが、中々編集者から了承が貰えないのだ。
隣でノートを一緒に見ていた賢人は目を丸くした。
「すごい。なぁ、純恋」賢人に急に呼ばれ、純恋は賢人を見つめた。
賢人は無邪気な笑身を浮かべ「俺も手伝うよ。ネタできるように」と言った。
皐月は何かいい感じと言わんばかりに、ニヤニヤと笑い、2人を見つめた。
純恋はふふっと笑い「ありがたく使わせてもらいます」と答えた。
◇◇◇◇
下校時。
純恋は門を出ると、見覚えのある人影を見つめた。
「セシルちゃん〜」純恋が手を振ると、セシルが振り向いた。
雪のように白い肌に、水のような青い目。銀の短髪。
神秘的な顔立ちだ。
ちなみに性別はわからない。
純恋は考えたこともなかった。
上は、女の子用の制服だが、下はスカートではなく、短パンを履いている。
その格好は、学校側からは許可が出ている。
「純恋ちゃん、今帰りかな?」水のように透き通る声で純恋に優しく問いかけた。
その声に落ち着く感覚を覚えつつ「うん。今帰り」と頷いた。
セシルは優しく微笑み「一緒に帰ろっか。純恋ちゃん、嬉しい事があった顔してるみたいね」と純恋に手を差し出した。
「うん。すごく嬉しい事があったの」純恋はセシルと手を繋いだ。
◇◇◇◇
ある日の音楽の時間。
純恋はプリントをやり終え、小説のネタ作りをしていた。
インパクトがあるネタなど見つからず、純恋は頭を悩ましていた。
すると「純恋〜。ネタで悩んでるの?」と横から、賢人が話しかけてきた。
純恋は苦笑し「よくわからないの。インパクトのあるネタなんて…」と呟いた。
賢人は「ふーん」と相槌を打ったあと「彼氏出来たことある?」と聞いてきた。
急な質問に、純恋は「出来たことないけど…?」と答えた。
心臓が何故か高まった。
賢人は「俺が彼氏になったらどうする?」といたずらっぽく聞いた。
純恋は思わず「え?!」と頬を赤らめ声を上げた。
周りがザワザワし、純恋は「すみません…」と頭を下げ、身を縮めた。
賢人は可笑しそうに笑っていた。
周りの賢人の取り巻きの男バスもニヤニヤと2人を見つめていた。
純恋は頬を赤らめながら何も言えなかった。
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