15 【デモノギア】をあっさりと攻略する


「な、なんだと……!?」

「いくら強力な装甲だろうと攻撃すればダメージは受ける。そのダメージが蓄積していけば――いずれは壊れる」


 驚くガイナードに解説する俺。


「だからお前の装甲が壊れるまで同じ個所に延々と撃ち込んだんだ」

「だ、だが、それを実現するには桁違いの魔法速射能力と膨大な魔力が必要なはず……き、貴様、これほどまでの魔術師だったとは――」

「終わりだ」


 どんっ!


 装甲の亀裂に向かって、俺は最後の一撃を放つ。


「ぐ……あっ……」


 その一撃を受け、奴は昏倒した。


 殺すほどの強い一撃じゃない。


 あくまでも気絶させただけだ。


 あとはこいつらをクーデリアに引き渡せばいいだろう。


「頼めますか、クーデリア団長」


 俺は彼女に言った。


「……分かった。引き受けよう」


 と、クーデリアがうなずいた。


「こいつらは国の方で尋問する。それはそうと――」


 俺に対して険しい表情になるクーデリア。


「随分と敵の術式に詳しいようだな。その特性を利用して、簡単に攻略してみせた」

「えっ?」

「それはお前も、彼らの仲間だからではないのか?」

「いやいやいや」


 俺は首を左右に振りながらも、内心で軽く舌打ちした。


 なるほど、そういうふうに解釈されることもあるか――と。


「……ふん、まあいい。それも含めて尋問するとしよう」


 クーデリアはとりあえず矛を収めてくれた。


「お前はこれからどうするのだ、レイヴン」

「俺はもう少し、この国に滞在します」


 俺は彼女に言った。


 週末の間はここにいて、週明けすぐに学園に戻ろう。




  その後も俺はアビス王国で一日を過ごしたけど、特にこれといった収穫はなかった。


 というわけで、自宅に戻り、週明け。


 また学園生活が始まる。


「おはよ、レイヴンくん。今週もよろしくだねっ」


 と、編入生のセレンが話しかけてきた。


「おはよう、セレン」


 挨拶を返す俺。


「後でちょっと付き合ってほしいんだけど、いいかな?」

「えっ」

「あたしの相手をしてほしいの。全力で」


 セレンはニコニコ笑顔だけど、その目は笑っていなかった。


 まるで殺し合いでも挑むかのような強烈な光が、彼女の瞳に宿っている――。



****

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