14 レイヴン同士の戦い、決着
「【ルーンブレード】!」
俺は魔力を剣の形にして生み出した。
両手にそれぞれ魔力剣を構え、二刀流で攻め込む。
「ちいっ、近接戦闘か……」
レイヴンが舌打ちをした。
先ほどまでは余裕の表情だったのに、口元からいきなり笑みが消える。
そう、こいつがゲーム通りのレイヴンなら弱点は二つある。
一つは努力をまったくしないこと。
才能だけで戦っているから、『日々、努力によって強くなる』ということがない。
いきなりの『覚醒』で強くなることはあっても、少しずつ力が上積みされていくことはない。
一方の俺は、その『少しずつの上積み』をずっと続けてきた。
しかも、レイヴンはもともと超天才である。
わずかな努力でも成果は大きい。
まして、それを一年間、必死で続けてきた俺は――。
「ゲームのお前より、今の俺ははるかに強い――」
そして、もう一つは戦闘経験。
俺は一年間の鍛錬で実戦形式の訓練も山のように積んできた。
もちろん、本物の実戦はまた別かもしれない。
それでも『戦闘の経験』は、いくらレイヴンが天才でも一人では絶対に積めないものだ。
経験ゼロに等しいレイヴンと、ほとんどが訓練とはいえ、戦闘を積み重ねてきた俺。
その差は歴然だ。
「はあああああっ……!」
二刀を続けざまに繰り出す。
「【シールド】!」
レイヴンが防御魔法を発動した。
構わず斬りつける。
一撃、二撃、三撃――。
ばきんっ!
六撃加えて、何とか破壊した。
「このっ……!」
レイヴンは後退し、距離を取ろうとする。
遠距離戦の間合いまで遠ざかろうというのだろう。
「けど、そうはさせない――!」
俺はさらに踏み込み、近接戦闘の間合いを維持した。
右の魔力剣を振り下ろす。
左の魔力剣を薙ぎ払う。
さらに右、左、右――。
連続攻撃だ。
「てめぇ……っ!」
レイヴンの表情に焦りの色が濃い。
「終わりだ!」
俺はなおも踏み込み、より強い一撃を繰り出し――、
ぴたりっ。
俺の左右の魔力剣がレイヴンの首筋と胸元に押し当てられた。
「……俺の負けだ」
レイヴンがうつむいた。
「ふうっ……」
俺は魔力剣を解除し、レイヴンとあらためて向き直った。
すると、
ごうっ……!
俺の全身から純白のオーラが立ち上る。
「これは――」
分かる。
理屈じゃなく本能で実感する。
俺の『精神力』が大きく上がったのを。
これでレイヴンとの戦いは――精神力を鍛えるための戦いは、いったん終わりだ。
けど、俺がこの世界でやるべきことはまだ残っている。
俺は……レイヴンの正体を確かめなければならない。
さっき思いついた『仮説』が正しいのかどうか。
****
〇『魔族のモブ兵士に転生した俺は、ゲーム序盤の部隊全滅ルートを阻止するために限界を超えて努力する。やがて下級魔族でありながら魔王級すら超える最強魔族へと成長する。』
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