8 俺のフルパワー(フルパワーとは言ってない)にクラス全員が驚愕する


「はああああああああああ……!」


 俺は魔力を高めていく。


 格闘漫画なんかでよく見かけるオーラを高める的な絵柄だ。


 先生は得意魔法を撃て、って言ってたな。


「得意な攻撃魔法は色々あるんだけど……とりあえず、『アレ』いってみるか」


 かつて高位魔族バームゲイルを倒した一撃。


 しゅうううううんっ。


 俺の全身の魔力が両手に収束する。


 そして、火炎を放つ。


「【バニッシュフレア】!」


 飛び出した炎は赤から青へと変化した。


「な、なんだと、これほどのランクの魔法をあっさりと――!?」


 レナ教官が驚くのが分かった。


 クラス全員が息を飲んでいるのも分かった。


 そんな中、青い火球は突き進んでいき、的に命中し――、


 ずおおおお……んっ!


 大爆発を起こした。


「おっと――【シールド】!」


 いちおう結界を張っておく。


 この施設自体が防御結界で何重にも安全対策されているんだけど、念のためだ。


 押し寄せた破壊エネルギーの余波は、俺がとっさに張った【シールド】に弾き返された。


「ん……?」


 見れば、的が粉々になっている。


「あ……壊しちゃったか」

「な、な、な……」


 レナ教官は口をポカンとして俺を見詰めていた。


 クールビューティらしからぬ表情だ。


「魔力計測……不可能だと……!?」


 マチルダやキサラをはじめとする他の生徒たちの魔力数値が軒並み『500』~『800』くらいの数値を示している中、俺の数値は『9999』になっていた。


 つまり、少なくともこの数字を超える魔力を、俺は有しているということだ。




 結局、俺は予備の的を使って、魔力測定のやり直しになった。


 といっても、フルパワーで撃つとまた的を壊してしまいかねないので、威力を数割に押さえて撃ち、そこからフルパワーを推定する……という方法をとることになった。


「今度は壊すなよ、頼むぞ」


 レナ教官に念を押された。


「測定器は高いからな」

「あ……俺の実家に頼んでみます……弁償」


 俺はバツの悪い気持ちで答えた。


 うーん……ドラクセル伯爵家は大貴族のはずだから、ちょっとくらい頼んでも大丈夫だろう。


 すまん、父さん、母さん。


 俺は心の中で謝っておく。


「よし、仕切り直しだ」


 俺はふたたび魔力を高めた。


「とりあえず一割程度の力で撃ちます」

「ああ。それくらいならさすがに測定器が壊れることはないだろう。そこで出た数値を十倍して、貴様の魔力値を推定する。概算になってしまうが許してくれ」

「了解です。では――」


 俺は魔力を解放した。


「【魔弾】!」


 今度はオーソドックスな魔力弾だ。


 ちなみにこれはマルスの得意魔法らしい。


 突き進んだ青白いエネルギー弾が的に命中する。


 ぐごおおおおおおおおおおおおおおおおおおおんっ!


 ……す、すごい爆音がしたな。


 めちゃくちゃ手加減したんだけど……。


 俺はあらためて的を見つめた。


「よ、よかった、壊れてない……」




「さっきので測定された魔力数値は『3500』だった」


 レナ教官が言った。


「つまり貴様の推定魔力値は『35000』ということになる。規格外もいいところだな……」


 通常の魔術師の魔力は『300』程度。


 優秀な魔術師で『500』くらい。


 そして『700』を超えると天才の部類だと言われている。


 そんな中で俺は少なくとも『35000』――。


 確かに、規格外だ。


 ちなみにこの数字はゲームのそれと一致している。


 といっても、悪役のレイヴンはプレイ不可キャラだったから、実際の魔力値は分からないんだけど、ファンサイトの考察だと『50000』から『70000』くらいって言われてたな……。





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