夢と溶液
まぁ
夢と溶液
僕と翔斗は、ずっと仲が良かった。
幼稚園の頃から一緒で、同じ部活に入って、同じ中学に通っていた。
彼は、僕の一生の友達になるだろうと、心の底から信じていた。
いつも隣にいて、バカなことをやって、一緒に笑った。
本当に、楽しかった。
でも、ある日、全てが終わった。何気ない、いつも通りの日に。
その日は玄関の前で彼の母親が立っていた。
悲しそうな顔をして、何かを伝えようとしていた。
そこからの記憶は曖昧だ。
全てがモノクロに見えて、映画を見ているような感覚に襲われた。
気づけば僕は高校生になっていて、体も大きくなっていた。
僕の中で止まっていた時間とは裏腹に、現実は確実に進んでいた。
◇
あの日、僕が失った親友が、僕の高校の前に立っていた。
「翔斗...?」
「やぁ、久しぶりだね、拓真。」
「嘘だろ?翔斗...本当にお前か?」
僕は頬をつねる。
痛みを感じた。
「痛い...ってことは、夢じゃないのか!?」
「翔斗は死んだんだ。なんで今、ここにいるんだよ!」
僕は彼の手を握った。感触が確かにあった。
「幻覚じゃない...どうかしてる...はは。」
「変なこと言わないでよ。僕はちゃんと生きてるんだ。」
「でも...お前は...」
言葉が出てこない。
「今日、学校サボらないか?行きたい場所があるんだ。」
「まあ、いいけど。どこに行くんだ?」
「俺らの秘密基地だよ。忘れたのか?」
◇
久しぶりの秘密基地。
あの日以来、僕は一度も訪れていなかった場所。
裏山を越えた先の広場に、僕と翔斗はよく遊びに行っていた。
考え事をしているうちに、翔斗はどんどん前へ進んでいた。
「おーい、置いてくぞ!」
翔斗に急かされるのも、久しぶりだ。
「今行くよ!」
自然はほとんど変わっていなかった。
昔見た風景のままで、懐かしさが胸に広がった。
開けた場所に着くと、錆びついたトタン小屋が見えてきた。
僕は、手前で手を振る翔斗を見ながら「早いよ!」と笑う。
でも、心の中では泣きたくて仕方がなかった。
立て付けの悪いトタン小屋の扉を開ける。
内装は昔と変わらず、椅子と簡単なベッドが置かれているだけだった。
僕は、独特な匂いを感じながら、昔の定位置だったベッドに腰を下ろした。
「懐かしい...」
が
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◇
「はぁ...はぁ...」
気のせいだったのか。
たまにこういうことがある。
気分が悪い。
自室に戻ってベッドから起き上がると、汗で体がベタベタだ。
「シャワーを浴びないと...」
僕は自室のドアを開け、暗い廊下を歩き始めた。
◇
「翔斗君が来たわよー」
母の声が響く。
僕はいつものように無邪気な笑顔で答えた。
「今行くよ!」
廊下を駆け抜け、玄関のドアを開ける。
でも、そこには誰もいなかった。
「翔斗?どこに隠れてるんだ?」
「ねえ、どこだよ?」
蒸し暑い夏の気温が、僕の体を包み込む。
身体が急激に成長していく感覚がする。
僕は玄関の隅にある靴置きの暗がりに囚われた。
「どうして!?」
「暗いよ、怖いよ...」
恐怖に侵されて、声が震える。
誰もいない。ここには、誰もいない。
「どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?」
◇
洗面所にたどり着き、鏡を見る。
ひどい顔をしているだろうから、本当は見たくなかった。
想像通りの顔だった。
服を脱ぎ、痩せこけた体が露わになる。
震える手で浴室に入り、ドアを閉める。
ぬるくて不快な液体が、僕の体にかかる。
救いのようにも思えたが
或いは...
浴槽に入る気になれず、すぐに浴室を出て体を拭いた。
冷たい感覚に襲われ、全身に嫌悪感が広がる。
「もう二度と、入りたくない。」
◇
僕は自室に戻り、鍵をかけた。
「眠ろう。」
【心臓の鼓動が
ドク ドク ドク ドク】
【翔斗の体は 分裂して僕の脳内に。】
【44Gr44GS44Gf44GE44CC44Go44GG44Gy44GX44Gf44GE44CCDQrjgZTjgoHjgpPjgarjgZXjgYTjgILjgobjgovjgZXjgozjgarjgYTjgII】
縄を垂らす。
救いかどうかはわからないが。
「これで良いんだ。」
そう最後呟いた。
夢と溶液 まぁ @Mla_yama3467
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