第4話 会議

◾◾◾


何故か着替えを持ってきてない幻に怒り、仕方なく着替えを渡し、一足先に会議室に入る。場所は伝えておいたから大丈夫だろう。

全く…服を持ってきてないとか何しに来たんだか。


重厚な扉を力一杯押して開ける。襲撃者が入ってきても時間稼ぎができるようにできるているだしいのだが、もう少し軽くても良かったんじゃないか…?

本当に疲れるんだが。この扉を開けるだけで。


入ってみると、僕と幻以外の人たちが全員座っていた。

撃抜は右肩から左の肋まで包帯を巻いたまま、会議に参加しているんだが。どういうことだよ。


席的に撃抜の隣になるため、返答は分かっているが、一応聞いてみる。

「大丈夫なんですか?その傷。」

「大丈夫だと思うか?激痛が息をするたびに襲ってきているんだが。」

普段表情がない撃抜だが、今に至ってはとても怪訝そうな顔をしている。


すると、リーダーが男性にしても低い声で言う。

「おい。武闘は何処だ。このままでは会議が始められないぞ。」

あ、そういえば話してなかったっけ。あの事を。


「武闘ならもう幹部じゃないですよ。というか、それ以上の逸材が見つかったんで。」

撃抜は察したような顔をしていたが、それ以外の視線が僕に集まる。


「どういうことだ。説明しろ。」

一気に緊張感が走るが、気にせずに続ける。

「ただ単に武闘を倒したやつが居たんですよ。しかも殺してね。まぁ、医療班に流しましたけど。今頃起きて騒いでんじゃないですか?というか、あいつ迷惑だったし。居なくなって清々しますよ。」


薄く笑いを浮かべた僕が癪に障ったのか、九位の雷が不満そうにする。

「あのなぁ…勝手にランキングを改変しないほうが良いと思うぜ。まぐれの可能性だってあんだろ…確かにあいつは迷惑だったが。実力がはっきりしないやつを連れてきて良いのかよ。なぁ、撃抜。」


リーダーの方を一瞬見た雷だったが、話しかけてはいけないという雰囲気を察知したのか、話を撃抜の方に振る。

だが、彼女は頷くわけでもなく、首を横に振るわけでもなかった。ただただ目を瞑っていた。


「この扉重っ…全く動かないんだけど…」

向こう側から、先程聞いた声が聞こえてくる。


彼は悪戦苦闘した後、急に音が聞こえなくなったと思ったら、雷の椅子の背もたれを消しながら現れてきた。

もたれていた雷は当然後ろに倒れたが、やっとやってきたな。


『主役』が。


◾◾◾


ん…?なんか、すごい威圧感があるんだけど…

場所間違ったかな?そう思ったが、椅子が一つ余っていたので、おそらく正しいだろう。


「君が新しく入って、十位を荒らした人かね?」

恐ろしく低い声で聞いてくる。あ、この人が一位の人なのかな?

めっちゃ怖いんだけど。


「まぁ…はい。そうですね。なんだっけ。武闘さんだっけ。その人に勝ちました。勝った…?うん。勝ちました。」

相手の動きが単調すぎて一方的にボコしただけなんだけどな。

ただ目を瞑るだけでよかったもん。


「そうか……まあいい。悩みのタネが一つ無くなっただけ有り難いと思おう。正直鬱陶しかったからな。」

全員が頷く。うわぁ…あんなに嫌われてるんか…


おずおずと椅子に座り、背もたれを消してしまった人から痛い視線を感じながら、会議に参加する。


「では。まず、本題と行きたいところだが、突然新入りが幹部になるとは夢にも思っていなかったからな。少し、自己紹介をお願いできるか。」

こちらを見ながら話しかけてくる。表情から読めない人だなぁ…


「幻 優然です。強いときは強く、弱いときは弱い感じですかね。ざっくり言っちゃえばこうなります。」

あえで、自分の能力の詳細は言わなかった。

ばら撒いちゃうと、後々のスパイ活動とかに影響しそうだからね。


「そうか。分かった。因みに、私の名前は無敵 宗吾だ。じゃあ、今回の議題。それはな。膠着状態にある


リーダーが告げた瞬間、ザワッと部屋が沸く。

タイミング悪…なんで僕が入会した瞬間にこうなるの…?


「それは本当にやるんですか…?」撃抜さんの声が震えている。

「どうした。そんなにお前の不都合なことか?」

悪い笑みを浮かべている。わぁ。リーダーだ。

「いえ…そういう訳では…」

「じゃあ、参加するんだな。」


全員参加の体で話がどんどん進んでいく。


決まったのが、全体でゲリラをし、相手の事務所を一瞬で壊滅させるというものだ。


うまく決まる気がしないんだが。まぁ、隊長命令だし仕方ないけどね…


「さぁ。新入り。新しい幹部として、この後の集会に参加してもらうからな。」

僕の体より三周りほど大きい体で僕に言ってくる。


は、はぁ…

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殺し屋の生存戦略 むぅ @mulu0809

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