その後

翌日ロバートは私の家を訪ねてきた。

お父様は険しい顔でロバートを客室へ通し、私も同席した。


「ロバート君、お前は何をしていたんだ?」


「あの強制力に抗う事が出来ず、クロエ嬢とともに過ごしておりました。」


「フフ、私の魔法に抗うなんて並の人間にはできないわよ」


 黒狐が私の影から出てきてそう言った。


「でも彼は落ちなかったわ……他の人はみーんなクロエの虜だったのに……信念の強い子なのかしら?」


「それほどお前の能力は強力なのか?」


 お父様は黒い狐に険しい顔のまま質問する


「どちらかと言うと……クロエの思いが強かったのよ、私の能力は思いの具現化を手伝う能力、ま、分かりやすく言うなら魅力的に見せたいと思ったら魅了魔法、強くなりたいと思ったら身体強化魔法に変化するって感じね」


そんな事聞いてないのですが……


「彼はすごい逸材よ。思いが強くて攻略しきれなかったもの……いつだって頭の中はエルアテシアでいっぱいだったわ笑」


 クスクスと笑う黒狐、ため息をつくお父様、


 ただことの行く末を見守ることしか出来ない自分が情けないわ……


「ねぇ、公爵!ロバートも反省してるし、エルもロバートの事大好きだよ?それにこの子の能力は完全に対人間の能力だから抗うのは本当に難しいよ!それなのに落ちなかったって凄いことなんだ!」


 ルキは助け舟を出そうとしているのだろうがしれっと私がロバート大好きな事をばらさないで欲しい……


 思わず顔が赤くなる私にロバートは言った


「公爵閣下、エルを守れるような立派な騎士団長になります。もしなれなければ僕を切って頂いて構いません。なのでどうかもう一度チャンスをください。」


 お父様に深く頭を下げるロバートに私は応援したい気持ちになってしまった。


「よかろう、できなかった場合は覚悟するんだな」


 そう言ってお父様は部屋を出た。

ロバートはそれから死にものぐるいで訓練に励んだ。監督はうちの魔獣たちだ。特にルキは容赦なく牙を剥く。何度もボロボロになりながら立ち上がるロバートを見て私は純粋に尊敬していた……


 そして今日……


「ロバート・ミカエリス、そなたを第5騎士団の団長に命ずる。」


 ついにロバートは騎士団長になったのだ。


「おめでとう!ロバート!」


 私は思わずロバートを抱きしめる。


「全部エルとエルの魔獣達のおかげだよ。」


 涙目になりながら嬉しそうに話すロバートに私はやっぱり推しであり、今度旦那になるロバートに人生を貢ぎたいと思ったのだった……


 その後私たちは無事に結婚し、ロバート似の男の子を授かるのだが……それはまた別のお話!

 

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異世界転生したので推しに人生貢ぎます ちびまろ @CHIBI-mochi

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