チン無し芳一

キリン

チン無し芳一、TSする

 芳一は琵琶の名手であった。その音色は生者に留まらず、あの平家の怨霊たちをも魅了するほどの美しさである。──故に、芳一はその命を狙われていた。


 「よいか芳一、よく聞け」


 自分だけ衣服をはだけさせた状態で向かい合い、芳一は住職の話に耳を傾けた。


 「今宵、儂はお前を守ってやることができん。だがこのままお主をここに置いていけば、お主はあっという間にあちら側に引きずり込まれてしまうだろう……そこで、だ」


 炭の匂いがする。

 生まれつき盲目の芳一は、住職が墨と筆を持っていることをなんとなく感じ取った。


 「今からお主の体の隅々に経を記す。そうすれば怨霊共にはお主の身体が透明に見え、殺されずに済むだろう」


 そう言って、住職は芳一の体中に経をさらさらと書き始めた。

 一文字一文字、一筆一筆に魂と念の籠もった経を。


 そうしていくうちに、体の隅々が経まみれになった。


 「ふぅ……これでもう安心じゃな」


 住職がそう言って筆を置こうとした、その時だった。


 「住職様、まだ『ここ』に経を記してもらっておりません」

 「ん? 『ここ』? どれどれ……ぇ」


 住職は絶句した。

 股の間、そこに聳え立つ凶刃を。


 「──でっ……」

 

 言い淀んで、咳払いをした住職は震える手で筆を執った。


 「そっ、そうじゃな芳一! まだその、ここに書いていなかったな!」

 「どうしたのですか住職様? ささ、早く経を記してくださいませ」

 「あ、ああうん、書くわ!」


 イチモツがあまりにも大きすぎて、それからあまりにも立派すぎて、住職は若干自分の股間あたりを気にしながらもじもじと筆先を近づけ、そして触れた。


 「ん”ん”っ”」

 「ぶぇっ!?」


 突如、白羽の矢が立つ。っていうか放たれた。

 それはそれはまるで水鉄砲といいましょうか、あるいはもっと別のなにかといいましょうか……とにかく住職の頭も顔面も真っ白になってしまい、とてもではありませんが言葉を失っていました。


 「ふぅ、ふぅ。……失礼しました住職様。ささ、続きを」

 「うん、わかった。わかっt」

 「ん”あ”あ”っ”!」


 その後も住職による経を書く作業は懸命に続いたが、芳一があまりにも早漏のため一筆一筆の感触に耐えきれず、炭とイカ臭さだけが塗りたくられた不完全な状態で写経は終わりました。


 ちなみにその後も芳一の射精は続きました。









 芳一の喘ぎ声が静まり返った頃、遂に夜が訪れた。──芳一をあの世に連れて行こうとする、平家の怨霊たちとともに。


 芳一はその場に正座のまま、黙ってじっとしていた。

 目が見えない芳一にとって視覚からの恐怖はなかった。寧ろ耳から聞こえる足音……絶対にいないはずなのに、確かに『いる』事がわかる。


 ああ、怖い。芳一は震えていた。

 震え、怯え、そしてそれ以上に。


 (これが……目隠し放置プレイ……!)


 未知の恐怖に引き立てられた快感に身を委ねていた。

 ここで一応言っておくが、芳一は確かに常人と同じように恐怖している。恐怖したうえで、それを快感として感じ取っているのだ……そう、彼は外部からの痛みや罵倒による刺激を快感として感じる、俗に言う”ドM"という部類の人種だったのだ!


 なのでまぁ、この恐怖というか絶体絶命のこの状況はMの芳一にとってはただのご褒美でしか無いのである。

 

 だが、彼は興奮しすぎた。

 そのため平家の怨霊たちは見てしまった……全裸の芳一の股間から飛び出ている、今もどくんどくんと脈を打っている怪物を!!!!


 (視線を感じる!)


 そう、やっぱり芳一のイチモツには経が記されておらず、先っぽから根本まで丸見えだったのである!


 (近づいて、くる……!?)


 そして平家の怨霊たちも宙に浮かぶ一物に興味を抱いたのか、なんとそのイチモツをがしりと掴んだのだ!


 (い”っ”い”つ”っ”ぐぅ)


 必死に堪える芳一。しかし既に溢れ出る汗で炭が、経が流され落ちていた!

 芳一は今、丸見えの状態で平家の怨霊たちに囲まれているのである!


 だが、イチモツを掴んでいた平家の怨霊は、ある重大な”ミス”をしていた。

 そう、それは。


 「ん”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”っ”っ”っ”!!!!!!」


 一つ! それは芳一が、誰も想像できないほど貧弱で早漏だったこと!!

 二つ! それは芳一が、快感に比例して無限大の射精を行えるほどの豪の者だったこと!!


 それら二つを総じて、結果的になにが起きたか!

 それ即ち! ──規格外の射精により、周囲一帯が吹き飛んだのだ!


 平家の怨霊たちは恐怖した! なんだこいつは、なんだこの攻撃は、と!

 そして同時に興味を持ち、敬意を払った! その証拠に、芳一を絶頂へと導いた平家の怨霊の手は、なんと芳一のイチモツを根本から引き千切って持っていってしまったのだ!!


 「──ほ」


 千切れてもなお精を吐き出し続けるイチモツは平家とともに消え、周囲はイカ臭い荒れ地となっていた!


 「んほぉぉぉぁぁぉぉぉぉぉおんんんんんんんっっっっ!!!!!!!!!」


 そして痛み、苦しみ、それらは全てM男の芳一にとっての快楽となった。

 怨霊たちの襲撃をその身一つ、いいやチ◯ポ一本でしのぎ切った男芳一は……なんと、夜が明けるまでイキ続け、終いには仏が現れて女に性転換したんだとか。

 

 その後、女になった芳一は再び琵琶を持って旅に出ることになる。

 チ◯ポを失った芳一……皆は彼のことを、『チン無し芳一』と呼んだんだとか。







「作者からガチお願い」

頼むからこんなイカれた話よりこっち見てくれ↓

狂気的なラブコメ書きました! 読んでね! 星もください!(強欲)

https://kakuyomu.jp/works/16818093088024390382/episodes/16818093088024462735

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チン無し芳一 キリン @nyu_kirin

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