好きな女の子が踏んだアポロを食べたら性癖が壊れるレベルで美味すぎた件
キリン
「プロローグ」小学校1年生編
「第1話」踏んだアポロを食わされました
廊下の隅っこにちょこんと座った女子がアポロ食ってる。
「……えぇ?」
当時小学一年生になったばかりの俺は、ひどく困惑していた。
入学式を済ませ、クラス分けをして……んで、ちょっとトイレに行こうとしたら、なんか壁に寄りかかった女子がいて、学校に持ってきちゃいけないはずのお菓子であるアポロ食ってる。
どういうこと?
ねぇ、これどういうこと?
いや、落ち着こう。
取り敢えず今はトイレに……。
「おい、さっきからなにこっち見てんだよ」
「えっ? あっ、うん」
睨まれて俺はドキッとした。
いや、そりゃあ怖いし口悪いなぁとかそういう意味の驚きでもあったが、なにせ前髪に隠れたその鋭い瞳……しかしどこかふんわりとしたこの子の顔立ちが、あんまりにも胸の奥に来るものだから。
「気持ち悪いな、さっさと教室戻れよ」
「……いや、俺トイレしに来たんだけど」
「知らねぇ、消えろ。気持ち悪いんだよお前の顔」
なんちゅう言葉遣いだ。
最近デンジャラスなじーさんの漫画を読んだ俺だが、流石にここまで酷い暴言の乱舞ではなかった。なにこの子? 見た目がキレイなだけになんかすげぇ嫌なんだけど。
「……ってか、それアポロだよね。学校に持ってきちゃ駄目なんじゃないの? 初日だよ?」
「はぁ? 別に内申点が入るわけじゃないんだし、なにやっても私の勝手でしょ」
「いやそういうわけにはいかないでしょ。先生にバレたら怒られるだろ? な?」
女の子は舌打ちをして、「分かった。じゃあ10秒後ろ向いてろ」と言ってきた。
俺はなんでそんなことをさせられるのか分からなかったが、まぁこれで校則違反をやめてくれるのであればいいだろうと、大人しく背を向けた。
……10秒経った。
「うし、じゃあ教室に──いっ!?」
なんかぶん投げられてきた。すんでのところでキャッチして……それが、一粒のアポロが入った箱だったことに気づく。
「残り一個だからお前にやるよ。箱は捨てとけ」
「……はぁ、まぁいいけど」
そう言って俺は箱の中のアポロを一粒口に放り込む。うん、美味い。
ってかなんでだろう、さっきから俺のことをニヤニヤ見ている気がするんだけど……嫌だな、なんかこっちまでニヤける。
「食ったな?」
「お、おう。……ところでお前、なんで上履き脱いでんの?」
「ふふっ、うふふふっ」
俺の周りを一周ぐるりと回って、彼女は教室の方に背中から下がっていく。
「じゃあ、私は教室に戻るわ」
「お、おう……?」
変なやつだなぁ、と。
俺が本来の目的である尿意を足そうとトイレに向かおうとした、その時。
「ああ、そうそう」
その子はにんまりと、満面の笑みを浮かべて俺の方を指差した。
「そのアポロ、私が踏んだやつだから」
うふふ。
そう言って、呆然と立ち尽くす俺のことなど気にも留めず、彼女は教室の方へと戻っていった。
「……踏んだ?」
俺はただ、空になったアポロの容れ物を眺めていた。
胸の中に湧いてくるのは怒りだったが、それ以外にもなんというか……悪い気がしないようななにかが、頭の奥から染み出していた。
☆作者からのお願い☆
狂ってるなぁとか少しでも思った人は星を置いていきなさい(懇願)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます