第2話 愛のバニラエッセンス

キンコーンカンコーン…

学校の門を通り抜けると同時に朝のチャイムが鳴った。

あの一件のせいで遅刻ギリギリになってしまったが、何とか間に合ってよかった。

今日もいつも通り窓際の席に着き、担任が来るのを待っていた。

普段なら、僕がつく前に教卓きょうたくで待っているのに、なぜかそこに姿はない。

すると、隣の席の女子たちの声が聞こえてきた

「なんか今日転校生来るらしいよ」

転校生? なかなかなビッグニュースだ。

少しすると、教室の前のドアから先生が入ってきた。

おそらく、後ろからついてきているのが転校生なのだろ、、、

って、え?

あれは、朝、僕にハンカチを貸してくれた美女じゃないか。

やっと、さっき彼女に言われた「後で返して」の意味が分かった。

なんで、僕がこの学校の生徒だって、、、まあそれは、どうでもいい。

驚いていると、僕はクラスがザワついていることに気が付いた。

 

「え、、、?モデルみたい!」「可愛すぎんだろお、俺の時代が来たぞー!」

彼女の外見に驚いているものから、馬鹿みたいにはしゃいでいる者まで。

反応は人それぞれなのだな、と納得するが、そんなことを考えている場合ではない。

教卓の前にたった彼女が黒板に名前を書いて、自己紹介を始める。

「はじめまして、皆さん。私の名前は山川 翼、隣のN県から来ました。短い間になると思いますが、よろしくお願いします。」

さっきの横暴さは何だったのかと思うほど、大人しい自己紹介だ。

クラスメイトの彼女への評価は上がり続ける一方だろう。

その後、彼女の自己紹介は趣味だという、切り花を紹介して終わった。




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別れと誕生と愛 たいやき @110555

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