第3話 詐欺師と貴族


「ちょ、いや。やめてお願いッッッ」


そう言いながら徐々に服を脱ぐ遊戯神。

どうやら、世界が強制的に執行する様な形なのだろう。

ならば、遊戯でそいつの記憶を消したり書き換えたりする事も出来るのか?。 


『おい、テスラート』

「お願いだからもうやめてぇ。もう見えちゃうから本当に!!」

『…‥俺を元の世界に帰してくれるなら、もう服を脱がなくて良いが、どうする?』

「無理無理無理!。神の権能は10年に一回しか使えないの!!」

『…………』

「ちょもう見ないでぇ!」

『………はぁ、、、もう服を脱がなくて良いぞ』


そう言うと、テスラートは一息ついて服を着はじめる。

どうやら、今の発言は嘘ではない。

となると、めんどうな事になった。

俺はこの世界で生きていく他ないときたのだから。


『おい、テスラート。この世界の知識と情報を全てよこせ』

「それは出来ないわ。神の知識や権能の譲渡や共有は、とある神の賭けによって出来ないの」

『…………』


そうなると、遊戯神こいつは、この世界の事を知るまで、近くに置いておくのが賢明か。


『どっちに行けば人里に行ける』

「本当に道徳のドの字もありませんね貴方。ここから一番近いのはエリステラ領ですが、お勧め出来ません」

『何故だ?』

「エリステラ領の領主リツ・エリステラ公爵は、領民に重税を課していて、現状まともな生活環境が整ってません」

『領民は何故、それを受け入れてる?。遊戯で負けたのか?』

「いえ。リツ・エリステラが、このカルロス大帝国で史上最年少の遊戯代表者にして、賭けの神童だからです」

『つまり、怖気付いて事を起こせない訳か』  


生活環境が整っていないのなら、いく必要もないしな。

別の人里に行くか。

これ以上面倒な事には巻き込まれたくない。


『なら、別の所を教えてくれ』

「えぇぇえー!。貴方、助けてあげようとかないんですか?」

『めいどい』

「………貴方に期待した私がバカでした。ここから北に行けばヘールブ領があります。治安も生活環境も整っていて、物価もそこまで高くない良領地です」

『お前、あえてエリステラ領を紹介したな』


と言うと、平原の奥から馬車がこちらに向かってきているのが見える。

俺の口角が釣り上がる。


『ついてるな。ヘールブ領まで馬車なら何分ぐらいだ?』

「馬車なら45分ぐらいですけど……まさか、」

『なら、あの馬車に連れて行ってもらおうか』

「………」


俺の声が馬車に届く位置に来るまで待機して、来たところで声をかける。


『そこの馬車、止まってくれ』


その問いかけに歩みを止める馬車に俺は踏みよる。

馬車の操縦士に会話を試みる。


『この馬車はどこに向かってる』


すると、馬車の中から女性の声が聞こえる。


「エリステラ領に向かっています」

『お前がこの馬車の主人か、すまないが俺はヘールブ領に行きたい』

「それは急ぎですか?」

『急ぎではない』

「なら、先にエリステラ領に行ってからヘールブ領に行くでどうでしょう?」

『………ヘールブ領にはいつ向かう。それ次第だ』

「お嬢様!その様な無礼者と話さなくても」


と操縦士が会話に割り込むが、女性のグーサインで口を閉ざす。


「不快な思いをさせてしまい申し訳ございませんでした。だいたい2時間後辺りです」

『そうか。なら、それで頼む』

「ふふふ。遊戯賭けを申し込むと思っていましたが、どうやら違ってた様ですね。どうぞ馬車の中へ」

『同室失礼する』

「失礼します」


そう言って俺とテスラートは馬車で、エリステラ領に行くのだった。

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遊戯の神を倒した伝説の詐欺師は、遊戯至上主義の異世界に招待された!? @kasume

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