秋草 🚞

上月くるを

秋草 🚞



書道部の手書きポスター蕎麦の花

蕎麦刈られ一枚の田をのこしけり


蓼の花あぜのラジオのアベマリア

少女らの胸のマリアやロザリオ祭


秋空に帆を連ねゆく雲の群

品川の赤きナナハン秋高し


豊年の棚田の道のしるべかな

鬼灯や思ひは言葉ふかめゆく


青色の朝顔ばかり峡の村

秋草を籠に廃線写真かな


秋風に黒曜石の黒光り

某郡の某村発の秋の虹


間奏の長き曲なり秋風鈴

窓よぎる大きな鳥や秋灯


青松虫関西行きの高速バス

手土産は家へ職場へ星月夜


栗飯に微笑み合へるふたりかな

これでいいこれでいいとぞ碇星


坂だらけの赤坂の坂のちの月

金紙をひらり飛ばせば月ひらり




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