第7話

ゆきは、ちらりと僕を見ながら、左手で何かを切るようにして言った。


「じゃあまた明日、部活でね」



少し暗くなった湖沿いを、ゆきとグラベルバイクが走り去っていく。


僕は、ゆきの背中が見えなくなるまで、ずっと眺めていた。



明日も僕は部活に行く。


でも、ゆきは僕たちが同じクラスだって気づいてないのかな。


「ゆき、おはよう」って言おうかな。


同じクラスだと知って、笑うかな。



明日も僕は、この海に似た、湖の近くの高校に行く。

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汽水湖 @omuro1

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