第6話

グラベルバイクって言いたいし、僕は鈴木さんを鈴木さんって呼びたい。



この地域には「鈴木さん」がたくさんいる。


美術部だけでも5人いる。


でも、僕が鈴木さんと呼びたいのは鈴木さんだけだ。


そう呼ぶだけで、心が近づく気がするから。



「『ゆき』って呼んで!友だちはみんな、そう呼ぶよ」


鈴木さんの声が響いた。


それじゃあ、僕も呼んでみようかな。



「あ、えっと、ゆきさん」

「私は、『ゆき』です」


間髪入れずに、ゆきさんはそう言った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る