第5話

「湖、行こ」


鈴木さんは、もうグラベルバイクを漕ぎ出していた。


僕は慌てて自転車にダッシュでまたがり、それを追う。



鈴木さんは、時々グラベルバイクから降りて、湖の水をなめているようだった。


……これで三回目。


四回目にして、鈴木さんは笑顔で僕に向かって大きく手を振った。



「こっから湖」


追いついて、やっと僕も自転車を降りた。


「湖、来たね」



僕たちは初めて並んで湖を眺めた。


ずっと、こうしていたい。


湖面に揺れる夕日が眩しかった。


夕日は意外と速く沈む。


そんなことを、初めて知った。



「鈴木さんの絵が好きです」


言うつもりはなかったのに、なぜだか急に言っていた。



逆光で鈴木さんの表情はうかがえない。


「あんた、どういうつもりで鈴木さんって呼んでるの?」


鈴木さんはそう言った。

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