おそろい

おそろい

「あっ、そのアクキーっ」

　声をかけてくれたのは、あなたからでしたね。

「私もそのアニメ見てるの、おそろい！」

　そう言って見せてくれたのは確かに、私の好きなアニメのグッズで。

「私たち、仲良くなれそうじゃない！？」

　その嬉しそうな顔が、頭から離れませんでした。

「え待って髪ゴムもいっしょじゃん！」

　私たちには共通点が多くて。

「私たちそっくりだもんね～！」

　おそろいを見つける度に、あなたは喜んでくれました。

「あれもしかしてシャーペンも同じ？」

　あなたにもっと喜んでもらいたくて。

「髪切ったの？ ……私と同じくらいの長さだね」

　私はあなたとのおそろいを増やしていきました。

「ねえ、前から聞きたかったんだけどさ」

　そう、私はあなたに喜んでもらいたかっただけなのです。

「私のやること、なんでも真似してくるよね」

　それなのに、なんで。

「そういうのキモいからさ」

　なんでそんなこと言うんですか。

「もう近寄らないでくれないかな」

　私は、あなたに喜んでもらいたかっただけなのに