夏神楽

詞書ことばがき

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歌を作ろうとして書きました。

そんなバイタリティはなかった。

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逃げ水ゆらめく

蝉の喧騒に目をまわす

夏のきざはし

溶けて掻き消える 君の背


祈ることも

願うことも

忘れ果てた

百度参り


いみな

君を想う

夏へ宛てた

白露はくろ前に


岸の向こう

黄泉路を問う

小舟はまだ

此岸のふち


夜空にハマが咲く


君の笑顔に触れたくて

触れてしまえば消えそうで

あわく宵に滲む夏神楽

蛍火と たゆたうあわい


笑う君が隣にいた

雨音が熱を攫った

白檀香る夏の終わり

黒く囲われた君を抱く


君の笑顔に触れたくて

触れてしまえば消えそうで

あか孤悲こいに満ちる

夏櫓なつやぐら

不帰かえらずをあがなうように

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2025年1月9日 10:00

夏に情緒をーされる 玉門三典 @tamakado-minori

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