遺書と呪詛
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百合……とは…?と、ひたすら頭を抱えながら書きました。
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本日 虹の橋を渡るには
大層にお日柄もよく
篠突く雨垂れ
ざんざ降りしきる 鼠の空
鉄のフェンス 越す今
靴は脱いで 暗算しましょ
あと一、二、三
今際の際
此岸に燻る火を
水無月の唄にのせ
爆ぜて
混ぜて
うちすえて
赤裸々を地に晒す
拝啓、見て見ぬ振りを決めて
命を値踏みしたあの子へ
私に似たお前のことだよ
手本みてぇな涙を湛えて
いやに訳知り顔で
私の死を語るじゃないか
見え透いてるんだよ
お前のことだけは
お生憎さま 世は情け
旅は道連れ なんとやら
爪でも噛んで祈っときな
呪詛を紙切れに
したためて
お前に宛てた遺書を贈るよ
人の為だよ 善をなせ
空香典のツケを払いな
私ひとりじゃ
アンタも此処に
堕ちなくちゃ
ああ でも
届かない 届かない
このままじゃ 貴女には
届かない 届かない
私と貴女が
似ているのなら
ああ でも
届かない 届かない
このままじゃ 貴女には
届かない 届かない
私と貴女が
似ているのなら
言の葉を尽くした
遺書と呪詛は
貴女の眼に
留まらないまま
棺の底で焚べられる
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