第13話 決断と隠された思い
” 好き ”
どんなに憎んでも、どれだけ嫌いだと、思って叫んでも、兄様達のことを嫌いになんてなれなかった。腐っても、僕にとっては大切で、愛おしくて、大好きな兄様達に変わりはなかった。そんな兄様達を殺すなんて、出来るわけがなかったのだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
僕の考えは固まった。滅ぼさない、殺さない。だから、鬼の誘いを断る。
兄様達に嫌いと言われたことはかなり、傷ついてしまったし、普段から色々言われた。役に立たないのも事実だから仕方ない。だから、どれだけ罵倒されても嫌われても半分は仕方ないと思う。水竜家に力のないものに居場所なんて存在しない、それが我が家のしきたりだから、兄様達にも立場があるからあの対応をしたというのなら納得がいく。それはそれで良くないのかもしれないけど、でも、自分の立場って結構大事なのだ。この世界で生きていくには地位は必要。人手不足とかいうくせに無能の代わりはいくらでもいると脅すような世界なのだ。そりゃ、立場上とか、上下関係が出来てしまう。
だから、
兄様達のことは仕方ないと思った。
諦めていた。
嫌いでありたかった。
けど、
小さい頃に触れてしまった
優しさが
愛情が
今でも残っている。
嫌いになんてなれるはずがなかった。
兄様達に嫌われても僕は好きだよ。
あの頃とは違うかもしれない、
けれども好き、
腐っても兄様達だもの、
嫌いになれるはずがなかった。
だから決めた。鬼を倒す、僕一人でも祓うよ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
決断をしたその一方で、この時の僕は知らなかったんだ。隠していたはずの日記が見付かって、それをきっかけに本音がバレて、また___
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
_____ ◯月△日(雨)_____
今日の天気は雨。雨音が外から聞こえてくる。ザーザーって、まるで自分の気持ちを表してるみたいだった。今日は力を試すための試練があった。けれそ、僕の力はにぃたちに比べてかなり劣っているんだって。父様が呆れていた、母様もだ。試練の時には力がちゃんと発揮できるだろうと、期待されていたみたいだけど、結果は最悪。力なんて出せなかった。救いとして、水神様の加護を持っていたこと。これもなかったら”要らない存在”になるんだって。僕のお家は力が絶対。足りない分を補わないといけない、にぃたちみたに強くないといけない、そうじゃなきゃ居場所がなくなる気がする。ついこの間会った水神様が言っていたんだ、僕はまだ幼いから力をちゃんと操れない、と。それなら、力が扱える日まで、たくさん訓練して強くなろう、せめて、他の人と同じくらいにならないと、にぃたちみたいになるんだ。
_____ □月◇日(曇り)_____
なんで?どうして?どれだけ年を重ねても力がつかない。だからだ、だから、あんなに優しかった兄様達も離れていった。強くならなきゃ、ならないと、駄目なんだ。
ずるい、にくい、自分がにくいよ、、、。
水神様に愛された子 ねるもち🌱 @nerumoti_18
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。水神様に愛された子の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます