第9話 喧嘩
" 喧嘩別れ "
喧嘩は仲が良くてもするときはすると思う、相手はもしかしたら家族の誰かかもしれない、大切な人や友達かもしれない。でも、喧嘩って互いの本音がぶつかり合うといううことだから、もしかすると喧嘩の後はもっと仲良くなっているかもしれない。だけど、関係がこじれてしまうことも全然あり得る。要するに喧嘩って今後の仲がどうなるかわからない分岐点なのかもしれない。最悪、さよならになるかもしれない。なら、本音を言わなければいい…けど、ほんとにそれでいいのかな?
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「兄様方は僕が嫌いですか、?」
そう、聞いた途端に空気が重くなったのが何となく分かる。もしかして本当に嫌いだったのだろうか?もし、そうだとしたら僕は……
「…嫌いですよ、あなたのことなんて。」
無言の空間を破ったのはそんな颯兄様の一言だった。
嫌い、はっきりとそう言った颯兄様の瞳は嫌悪感を含んだような、でもどこか悲しそうな瞳をしていた。
ああ、やっぱり嫌いだったみたいだ。
悲しいと思う反面、ならここに来ないでほしかった。散々人のことを振り回しておいて、結局落とす。それが兄様なのかもしれない。
僕、少しだけ期待したんだ。もしかしたら心のどこかでは好きでいるんじゃないかって。でも、そんなことはなかった。
いや、冷静に考えればあるわけないか。
「ごめんなさい、変なことを聞いてしまって……。」
それだけ言い残してはその場に居るのも嫌で
抱きしめていた手を緩めた叶斗兄様を振り払って
逃げってしまった。
ああ、期待してしまった自分が馬鹿みたいだ。
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行く宛がなかった僕は近場の公園に居た。この場所は子どもたちの楽しい遊び場だったが、もうひとりも居ない。時代が進むに連れこの場所は錆びていくとともに、劣化も進み今の子どもたちが楽しめそうなものは減ってしまった。あるのは、砂場と大きい土管、すべり台くらいだ。もちろん、砂場は手入れがされていないから雑草や落ち葉が山になっている。すべり台だって錆びていてあまりすべりたいとは思えない感じがする。でも、今はそれが都合がいい。人が居ないからこそ一人で泣いていても浮かないというものだ。
「あーあ、何がしたかったんだろ…。」
仲が良かったあの頃も喧嘩はした。したけども、嫌いだなんて一回も言われなかった。颯兄様以外もそう思っているのかもしれない、そう考えるとさらに泣きたくなってしまう。なんだか糸ががんじがらめに絡まって、こじれてしまったみたいだ。
このまま、ずっと嫌われたままなのかな。
喧嘩、と言っていいのかわからないけども、喧嘩したままなのかな。
嫌だな。
そう思っても、言われた事実に変わりなんてなかった。
それでもやっぱりこのままは嫌で、でも何も出来なくて泣くことしかできなかった。
そんな時だった。背後から物音がする。気のせいだと思ったが近付いてくる気配に流石に無視を続けるのもきつくなってきた。
「……誰?」
そう振り返って姿を見ようとした。でも、見ないほうが良かったのかもしれない。
だってそこに立っていた人は_______
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