第8話 本音
” 本音 ”
本音をぶつけ合うというのはそう簡単には出来ないと思う。実際に僕も兄様たちに本音をぶつけたことがない。師匠にも、冬君にも、柚君にも、ちゃんとした本音をぶつけたことがないのだ。理由は色々あるけれど、本音を言って嫌われるのが怖かった。だけど、僕は叶斗兄様の本音を聞いたことがなかった。
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目を覚ますとそこには叶斗兄様が寝ていた。あと、一人いるのだけど……颯兄様が本を読みながら座っていた。叶斗兄様の次に強い、術やあやかしに関する知識は水竜家一。それが次男の颯兄様、なのだが……。無論、颯兄様も僕を見下し嫌っている。
そんね人たちがなんでここに居るのか、。起きてそうそう混乱するほかないじゃないか。
「……ああ、やっと起きましたか?」
僕が起きたのに気がついたのか、読んでいた本から目線を外し見下ろしてくる。
「ええ、まぁ……。それで、兄様方はどうして僕の部屋に居るのです?」
頭が冴えてきた状態で周りを見渡すと治癒所とは違う天井。けれど、毎朝、毎晩、毎日と言っていいほど見上げてみる見覚えのある天井。机の上に置いてある、今朝置きっぱなしにした本。直ぐそばに備え付けている小狐君専用ベッド。明らかに僕の部屋である、にも関わらず僕を嫌っているはずの兄様が二人、いや扉のそばに一人と、気配消しているであろう人が一人、兄様たち全員居るじゃないか。
嫌いな人のそばに起きるまで居るか、普通?いや、天才や才能がある人の考えは僕にはわからない。
「……愚兄が傍に居ると言って聞かないものですから、理由を聞いたんです。そしたら叶葉が倒れたと、聞いたので心配になったんですよ。一応は家族なので。」
なんて、もんもんと考えていたら質問の答えを教えてくれた。でも、家族って思ってくれてたんだ。まず、そのことに驚きです。
「そう、ですか…。ところで、なんで燐音兄様も悠紀兄様も居るんですか?」
「あ、バレてたかー。」
「結構上手く隠れてたはずなんだけど…」
僕にばれたからか隠れるのをやめ、姿を出す。気だるそうな方が、無気力そうに見えて実は強い三男の燐音兄様。隠密的な仕事ならおてのもの、気配隠すのがピカイチ上手い悠紀兄様。でもやっぱり、兄だからかな、なんとなくどこに隠れているとかはわかるのだ。
それは一度置いとくとして、本当になんでこの人たちは居るの?
「騒がしい……って、叶葉、起きたのか!?」
うるさかったのか、叶斗兄様が目を覚ました。まではいいのだけど、なんで抱きつかれてるの、?
「あの、叶斗兄様…苦しいです、。」
こんなことは小さい頃以来で、正直戸惑いでしかない。
「心配だったんだから、仕方ないだろ、?」
心配……?まさかこの人の口からそんな言葉が出てくると思っていなかった僕は更に動揺してしまう。
今更こんな事言われても、困るじゃん…。
もう、この人達のことが僕にはわからなかった。
本音が知りたい、本心を聞きたい。
そう思う反面、この言葉はすべて嘘じゃないのか、そう思ってしまうんだ。
もし、仮に嘘だったとしたら、きっと僕はだめになるかもしれない。
でも、知りたいと思ってしまった。
「兄様方は僕が嫌いですか、?」
かすかに震えている手に気付かないふりをしながら聞いた。
なんていわれるのかな_______
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