第3話 冬と柚
” 水神様と水竜家 ”
水竜家はかつて水神様を祀った、そう記されているが今もなお祀られているかと言われると微妙である。なぜなら、現当主は昔の風習を嫌い遠ざけた。しかし水神様の過去のみをほっした彼は形だけの祀りを始めたと言われている。当主がこんな感じなので他の者も形だけの祀りを真似たそうだ、ただ一人の子を除いて、、、。
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「ここは、、、?」
目が覚めると見慣れない天井、なわけはなく普通に知ってる天井があった。なんならしょっちゅうと言ってもいいくらい見たことがある。なぜならここは、とその前にそろそろ二人が来る頃かな、。そう思ったときだった、扉が勢いよく開き二人の男子がハイ、、、勢いよく抱きつかれた。
「叶ちゃん!!よっかた、目さめたんだねっ!」
「柚君、苦しい。」
「柚、叶ちゃんの目がさめて嬉しい気持ちは分かるが落ち着け。」
「あ、ごめん、嬉しくてつい、、、。」
「んーん、柚君ならいいよ。」
「あー、またそうやって柚を甘やかす、。でもほんと目がさめてよかったよ。」
「うん、冬君も来てくれてありがとうね。」
ここまでの流れもある意味しょっちゅう行われている。柚君、そして冬君の二人は心配性だから僕が毎回倒れたりしたらこうやってお見舞いに来てくれる、僕を水竜家の人間としてじゃなくただ一人の人間として接してくれる優しい人たちなんだ。
話が逸れたけどもここは僕たち祓い屋専用の治癒所。普通の病院でもいいんだけども妖が関わるとなると行っても意味がないことが多い、だから祓い屋専用のところがある。ここはもう戦うことのできない祓い屋や治癒を得意をする祓い屋が働いているのだ。
(それにしても、あのとき聞こえた叶斗兄様の言葉、なんで僕の名前を呼んだんだろ。もしかしてまだ大切に想ってくれてるからなのかな、なんてそんなわけないのに、。)
僕はあのときの状況が未だに呑み込めないでいる。分からなかった、依頼に行く前も普段ですらあんな感じの叶斗兄様だからこそ戸惑うし分からなくなる。ただもし、僕の妄想論で捉えていいのなら、まだ叶斗兄様に大切に想われている、そう思いたい。そんな事あるわけ無いって言うのは分かる、分かるんだ、それでも考えてしまうから、期待してしまうんだ。
「叶ちゃん、?もしかしてまだ具合悪い?」
僕が黙り込んだのが気になったのか不安そうに聞いてくる、なんだか犬みたいだな。
「大丈夫、少し考え事してただけだよ。」
「そっか、それならよかった!とは、ならないでしょ?」
「それもそうだな。水竜家の連中のことか?」
なにか言われるとは思ったけど、内容まで当てる人いるのかな。付き合いがものをいう、みたいな感じか。
「まぁ、そんなことかな。叶斗兄様のことで気になることがあって。」
下手に隠してもこの二人はなにがなんでも聞き出そうとする、正直諦めてしかいない。
「叶斗さん?もしかして依頼中になにか言われたのか?」
「そんなとこかな、。名前呼ばれたの、心配してる感じにね。」
「?でもあいつ叶ちゃんのこと嫌ってなかったっけ、。」
柚君の言ってることは正しい、今は好かれているとは思えない。
「なにか裏でもあるのか、。」
「分からない、あるとしても探りようがないから。」
「……ならさ兄貴に協力してもらう?死ぬほど嫌だけど叶ちゃんの頼みとあらば兄貴は動くだろうし。」
とっても嫌そう、何なら本音出てる。でも師匠って、
「今どこに居るのか分かんないし、、、。」
師匠とは柚君のお兄様にして僕に術や色々教えてくれた人、なんだけど神出鬼没だからどこに居るのかは謎。弟の柚君ですら分からないし、。
「あの人ならさっき自販機の前で何飲もうか真剣に悩んでたぞ、」
「「え???」」
沈黙になる。師匠は一体何して、。
「とりあえず、兄貴のとこ行く、?」
「そうだね、。」
「ああ、。」
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「うーん、どれにしようか、甘いカフェラテもいいけどここは日本人としてお茶にするか??」
僕たちはさっきいた場所から移動し自販機コーナーに行った。そしたら冬君の言う通り何飲むのか悩んでいる師匠がいた。
「あのさ、師匠っていつからそこに居たと思う?」
こっそりと二人に声をかけてみる。
「軽く一時間は居ると思う、。」
「兄貴ならありえるな。」
真顔の冬君とため息をつきそうな柚君。まぁ、一時間も居るとなるとそんな反応になるよね。
「よし、メロンソーダにするか!」
そんな僕らをよそに師匠は決めたようだけど、聞こえた選択肢にないの選んでるよね、。でも師匠なら仕方ないか。
「あの、師匠。」
僕は内心少し呆れつつも師匠に声をかけた。すると師匠は僕たちに気付いたのか目の色を変えて僕に抱きついてきた。
「叶葉ー!会いたかったよ♡」
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