第3話 バレた

そこは寂れた二階建てのビルの一室。

ドアを開けると探偵ドラマのような部屋が広がっていた。

「ここはおまえの部屋か?」

そう尋ねると彼はこくりと頷いた。

「最近の僕は酷く退屈してたんだ、でもきみが現れた。昔から少しだけ洞察力が優れていてね、久しぶりにこの能力に感謝したよ。」

聞こえるひとりごとのような大きい声で喋りながら、足取りは軽くフラフラと舞うように歩きどこからともなくコーヒーを差し出してきた。

「まあ飲みながらゆっくりまったり話そうか」


ひとり用のソファに座りながら彼と対面する形でコーヒーを飲んでいた。気まずい空気は続いている。

「それでおまえは何がしたいんだ。」

いい加減痺れを切らしてそう言うと彼は立ち上がり扉の前にいき手招きした。

「この先は他言無用で頼むよ、じゃなきゃきみの復讐を妨害し続けるからね」

本当に彼はどこまで知っているのか、でもそれよりいまはこの扉の向こうに何があるのかという好奇心の方が僅かに勝っていた。

その部屋には見たこともないものが並んでいた。

それこそ回帰前どころか未来の世界でさえ見たことも無いものだ。

「お察しのように僕は少しだけ特殊な人間さ。きみと同じ、いやそれよりもう少し先の未来の人間だ。」

そう話した彼の瞳はすこし悲しそうに見えた。

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クラスのあいつが死んだらしい 堕me人間 @dummy_aa

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