第15話 『ウオッシュ』を覚える

 ギルドを出て屋台に向かう……今夜と、明日の朝・昼の3食分を買わないとね。


 昨日見つけた総菜パンの屋台に来たんだけど、並んでいるサンドイッチの種類が少ない。昨日はもう少し種類があったのにね。


 選んだのはハムのサンドイッチとホットドッグ。スラ君も食べるだろうから3個ずつ買った。パンが大きいから、これ1個でお腹いっぱいになりそうね。


 ◇

 宿の部屋で、スラ君に水を入れたバケツを用意し、スラ君に『回復魔法』を掛ける。


 次は自分の体を拭いて……あっ! 『水魔法C』を覚えて『ウオッシュ』を使えるようにしよう――ステータス・オープン。

――――――――――――――――――

名前 アスカ(明日香)

経験値 108

HP 27/27

MP  2/27

攻撃力 F (低い:成人の平均的な能力より低い)

防御力 E (普通:成人の平均的な能力)

精神力 B (上級)

敏捷性 D (高い:成人の平均的な能力より高い)


スキルポイント 7P→9P

【獲得可能スキル】

――――――――――――――――――


 経験値が100を越えたけど、1,000まで貯めるには時間が掛かりそうね。


 えっ、MPが2しか残ってない。今日はレベルの高い魔法を使ったからね……明日はゴブリンにわないように、遠くには行かないでおこう。


 初めての魔物ラットとゴブリンを倒したから、スキルポイントも増えている。2P増えたってことは、ラットとゴブリンはそれぞれ1P……スキルポイントは経験値より貯めるのは厳しそうね。


 じゃあ、『水魔法C』を覚えようか。スキルの取り直しは出来ないから気をつけないと、必要なスキルポイントは4P……ビーさん、合ってる?


【はい、『水魔法C』はスキルポイント4Pで覚えられます。『水魔法C』を覚えたら、直ぐに『ウオッシュ』を使えるようになります】


 ――ビーさん、ありがとう。誰も知り合いのいない世界で、相談出来る相手がいるのは心強いね。


 ステータスの【獲得可能スキル】を開いて、『水魔法C』を覚えた。

――――――――――――――――――――――――――

スキルポイント 9P→5P

【獲得可能スキル】


スキル

・生活魔法

・異世界言語

・テイム魔法A ・風魔法B ・回復魔法B ・鑑定B

・水魔法C―New 


―――――――――――――――――――――――――

 うん、『水魔法C』を覚えている。


 ――ビーさん、『ウオッシュ』は詠唱しなくても使えるの?


【はい、無詠唱で発動します。自分に掛けると、着ている服や装備まで綺麗になります】


 ――服も? MPを消費しそう……残りのMPが2しかないんだけど、足りなければ手洗いね。ビーさん、『ウオッシュ』の魔法はMPをどれだけ使うの?


【アスカ、『ウオッシュ』は生活魔法になるのでMPを消費しません】


 ――えっ? 生活魔法は魔法だよね?


【はい、生活魔法は魔法ですが、体内にある魔素を使うのでMPを消費することはありません。ですが、体を動かす体力のように、生活魔法の威力や使える回数に個人差はあります】


 ……ん~、生活魔法はMPを使わないで、ある程度の回数を使える。生活魔法を上手く使ったらお得ってことね?


【はい。体内にある魔素を使い切るとMPを消費しますが、消費するMPは1程度です。基本、MPを消費する魔法は、覚えたスキル魔法を使う時になります】


 MP1ならあるから使ってみよう――『ウオッシュ』。


 あっ、一瞬で体がフワッと軽く……スッキリした感じになった。


 足を見ると、ブーツの泥汚れも取れていて『水魔法』を使っているのに乾いている……これは『風魔法』の効果ね。洗濯する時間が短縮されて大満足よ。ふふ。


 ちょっと早いけど、夜ご飯にしようかな。


「スラ君、晩ご飯にサンドイッチ食べる? お腹いっぱいかな?」


 スラ君に声を掛けたけど、バケツの中で背伸びをして、左右に揺れて出て来ない。いらないみたいね。


「スラ君は、今日いっぱい食べて動いたからね。ふふ、ゆっくり休んで」


 ラット2体とゴブリンを2体も食べたら十分よね。


 椅子に座って、インベントリから屋台で買った惣菜パンの袋を出す。


 ハムのサンドイッチを食べよう――ビーさんにハムを『鑑定』してもらったら、ボアという魔物のハムで、日本で言うといのししの魔物だと言う。


 猪の肉は食べたことないけど、このボアのハムは……くせはあるけどハーブが効いていて美味しい。ボリュームがあって1個食べたらお腹いっぱいになった。


 残ったサンドイッチとホットドッグはインベントリに入れて、明日の朝と昼に食べよう。そうだ、ビーさんに確認しておこう。


 ――ビーさん、昨日買った串焼きをお昼に食べた時、温かいままだったから、インベントリに入れた食べ物はそのままで、傷まないのよね?


【はい、入れた時の時間で止まるので温かい物は温かいままです。狩った魔物の腐敗も進みません】


 ――便利よね~。食べ物が傷まないなんて凄く助かる。


 明日、狩りに行く前に屋台を見に行こうかな。他の種類の惣菜パンも売ってそうだし、1つの袋に入れればインベントリのマスは1個しか使わないからね。


 今日は疲れたなぁ。太陽の下で、こんなに動き回ることなんてなかったからね。ふぁ~……欠伸あくびが出た。


 ――ビーさん、今何時かな?


【夜の8時前です】


 まだ早いけど、寝ようかな。


「スラ君、ビーさん、おやすみ……」

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