第43話 1ヶ月後

 部屋を借りて1ヶ月が過ぎた。


 1泊2日で森へ狩りに行って1日休む――を繰り返し、買い取り時に毎回10万ルギをギルドの口座に預けて、今では口座に110万ルギある。


 手持ちの所持金とギルド口座のお金を合わせて、350万ルギ以上貯まったの。

頑張っているよね~、私。ふふふ。


 休みの日、買い物へ行く時は、エレナとレオンにはお留守番をしてもらっている。


 エレナとレオンがジロジロ見られることはなくなったけど、最近は触らせて欲しいって声を掛けられることが増えたのよ。特に子供が声を掛けてくるの。


 エレナは100%嫌がるし、レオンは気が向いたときだけ『ミ"ャー!(いいよ!)』って前に出て、イヤな時はエレナと一緒に私の後ろに隠れてしまう。「ゴメンね」って断るんだけど、嫌がられた子供が可愛そうで……。


 そうそう、レオンが一回り以上大きくなって、今は柴犬より大きいの。まだまだ可愛いんだけど、鳴き声がね……成長期のせいか、ちょっとダミ声になったのよ。


 森の奥で狩りをするようになってから、久しぶりに【アイテム購入】を開いたら【日本のアイテム】が増えていた。

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@日本のアイテム(経験値5,000達成で追加アイテムあり)

[食べ物・飲み物]

・おにぎり100 ・梅おにぎり300 ・昆布おにぎり300

・ポテトチップス500 ・クッキー1,000

・水100 ・お茶200


New↓

・鮭おにぎり500 ・炊き込みご飯のおにぎり500

・野菜サラダ500 ・チョコレート1,500


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 ……そう、鮭のおにぎりが買えるようになったのよ!


 これを見て、(炊き込みご飯もそそるけど)無性に鮭が食べたくなって、市場にセーモン(鮭)が売ってないか見に行った。


 だって、経験値500は高いと思うの。2個でインベントリのマスが買えるのよ? いつか、こういうのを考えずに買えるようになりたいね……。


 市場でセーモンを見つけて、(2切れで2,000ルギ、結構なお値段だった)買って塩焼きにした。


 ご飯も炊いたんだけど、味噌汁も飲みたくなって……その足で味噌を買いに行ったのよ。前に、市場で売っているのを見つけていたからね。


 出汁だし用に干し肉とキノコ・タマネギも買った。炒めて煮込んで味噌を加えたら豚汁みたいな味噌汁が出来た。美味しいけど、干し肉の塩分が少し気になるから、次に作るときは少なめにしよう。


 セーモンに塩気が足りなくて醤油を垂らして……美味しかった~。塩を掛けて焼いただけなのに、「私って天才かも?」って思ったくらいにね。ふふふ。


 もう1切れのセーモンは、ムニエルにしてタルタルソースで食べたいって思ったから、マヨネーズを作ろうと一念発起いちねんほっき


 次の休みの日――混ぜるのが大変だから、卵の黄身1個分だけのマヨネーズを作った。腕が痛くなるのを、『回復魔法』で治しながらね。当然、ハンドミキサーが欲しくなって、街中の魔道具屋を探したけどなかった……残念。


 そして、ついこの前、また【日本のアイテム】が増えていたの。今回は、経験値10,000達成の追加アイテムだって。

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New↓

・クリームパン500 ・ジャムパン500

・コーヒー500 ・紅茶500 ・ジュース500


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「えっ、クリームパン? ビーさん、食パンはないの?」


 思わず声に出てしまって、ビーさんから〖アスカ、追加アイテムのデータはありません〗と返事が来た……そっか。


 コツコツと、経験値が貯まったらインベントリのマスを買い足して、今では22マスになりました! ふふ。


 最近は、インベントリの空きを気にしないで狩りが出来るようになったけど、ポーチに入れている魔核も、インベントリに収納できるくらいの余裕が欲しいから、まだまだインベントリのマスを買うつもり。


 この1ヶ月の間で、新しく狩った魔物はワイルドボアとワイルドキャット。ベアも出てきたけど、エレナをテイムした時に倒したからスキルポイントは付かなかった。


 ワイルドボアはボアを一回り大きくした真っ黒い猪の魔物で、初めて倒した時、エレナがワイルドボアの前で座って『ガルル?』って鳴いたの。


 ――あれは、エレナが『食べてもいい?』って聞いているんだと直ぐに分かったわ。だって、首を傾げるんだもの……エレナ、そんな仕草をしたら抱きつきたくなるじゃない!


 レオンは『ミ"ャー、ミ"ャー!』言いながらワイルドボアの周りを走り回るのよ。絶対に、『食べたいー!』よね。ふふ。


 それから、エレナたち用の食事の予備はホーンとワイルドボアにしたの。雨の日でもしのげるように、インベントリに2~3体キープしている。



 ワイルドキャットだけど……ある日、森の奥で狩りをしていたら、ビーさんから近くにワイルドキャットがいるって言われたの。


「えっ、ワイルドキャットが……」


 同族で戦わせていいのかと考えている間に、ワイルドキャットが唸り声を上げてエレナに襲いかかって来た。


〖エレナを、縄張りを荒らしに来た敵だと認識したようです〗


 ……縄張り。


『ガアアアーー!!』


 ワイルドキャットの攻撃をかわしたエレナが、牙をいて襲いかかったの。


『ガルルルーー!』


 レオンも『ギャルルー!!』と鳴いて前に出ようとするのを、「レオン、ダメよ」と言って押さえていた。


 エレナの一撃で怪我を負ったワイルドキャットが、逃げようとした瞬間――スラ君の水の刃が飛んだ。


 タプン! ヒュッー、シュババッー!


 ――そっか、私たちは狩りをしているんだった。


〖はい。アスカ、従魔には同族とか縄張り争いなど関係ありません〗


 ――そうね、今までだってスライムを沢山狩ってきた。エレナ以外のワイルドキャットを見るのが初めてだったから、変に考えてしまったな……。


 因みに、ワイルドキャットの買取り額がベアより高くて、魔核5,000ルギ・毛皮30,000ルギ・牙1,000ルギで買い取ってもらった。


 この2種類の魔物で、スキルポイントが増えて合計14Pになった。


 次に覚えたいスキルが『風魔法A』12P、『回復魔法A』16P、『聖魔法A』が20Pで、覚えられる『風魔法A』を覚えた。


 野営の時に使う、目隠し用の壁が作れる『土魔法』は検討中。今の所、なくても問題ないからね。


 それと、嬉しいことに、この1ヶ月でスラ君やエレナのステータスが上がったの。レオンもね。ふふ。


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名前 スラ君 [スライムC→B・アスカの従魔]

HP  68/68

MP 101/101


・攻撃力C→B ・防御力C→B ・精神力B→A ・敏捷性C→B

スキル

・水耐性 ・水魔法 ・突進 ・毒耐性

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 テイムした時、[スライムF]だったスラ君が[スライムB]よ! 強くなったよね~、嬉しい。


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名前 エレナ [ワイルドキャット(雌)C→B・アスカの従魔]

HP 245/245

MP 34/34

・攻撃力C→B ・防御力B ・精神力B ・敏捷性B→A

スキル

・跳躍 ・風魔法

――――――――――――――――――――――――――――

 エレナはレベルが『B』になってから、狩りの時に『風魔法』を使うようになったの。


 それまでは、爪で攻撃する時に風をまとったような攻撃をすることがあったけど、今は咆哮ほうこうを上げて、風の刃――ウインドカッターみたいな魔法を飛ばすようになったのよ。


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名前 レオン [ワイルドキャット(幼体・雄)F→E・アスカの従魔]

HP 35/35

MP 11/11

・攻撃力E→D ・防御力F→E ・精神力E→D ・敏捷性F→E

スキル

・跳躍  ・風魔法

――――――――――――――――――――――――――――

 ビーさんが、レオンもレベルが上がると『風魔法』を使えるようになるだろうって言うの。みんな凄いね。


 私はHPとMPが増えて、スキル『風魔法A』を覚えたからスキルポイントが残り2Pになった。

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名前 アスカ

経験値 133

HP  77/77

MP 127/127

攻撃力 E

防御力 E

精神力 B

敏捷性 C


スキルポイント 14P → 2P

【獲得可能スキル】


スキル

・生活魔法 ・異世界言語

・テイム魔法A ・風魔法B→A ・回復魔法B ・鑑定A

・水魔法C ・聖魔法C


【インベントリ】

【アイテム購入】

【従獣】


――――――――――――――――――――――――――

 今の狩り場では、これ以上スキルポイントを稼げなくなったから<フォス>の街を出ることにしたの。まだ森の奥で野営が出来ないからね。


 初めての魔物を狩らなくても、経験値でスキルポイントを買えるんだけど、今はまだインベントリのマスを買うのが優先かな。


 それに、せっかく異世界に来たんだから、魔物を狩りながら旅をするのもいいと思うのよ。




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