第33話 ステータスを見る

 エレナをテイムした経緯いきさつを話して、ベアの魔核を出した。


「何でベアまでいたんだ……しかも、また食べさせたのか! アスカ、森の奥まで行ったのか?」


 だって、毛皮がボロボロだったからね。


「いいえ、草原が見える場所だったから、森の奥じゃないですよ」


「何!? 草原が見える場所だと……スタンピードの狩り残しか!」


 あの森は、<アリラートス大陸>を二分する山岳地帯のある無主地で、とても広い森だってビーさんが言っていたから、スタンピードの狩り残しがあっても不思議じゃない。仕方が無いと思う。


 換金している間、エレナは大人しく座っていた。レオンは部屋の中をウロウロするから、「レオン、部屋から出たらダメよ」って声を掛けたら、こっちを見て『ミャ~!』って返事をしてくれるの……か、可愛い。


 今日は、エレナ用にフォレストウルフを2体キープしたのに、34,580ルギもあった。嬉しいな。


「アスカ、ベアの魔核だけでも10,000ルギで良い値段になるが、ベアを従魔にやらずに持ってくれば、毛皮が10,000ルギでと爪が2,000ルギで買い取ったぞ」


「えっ、そんなに……」


 でも、ボロボロの毛皮は買い取ってくれないでしょう……あっ、爪だけなら持って来られたかもね。


 ベールズさんに、2階の資料室に買い取り価格を書いた資料があるから勉強しろと言われた。


 この前、森の浅い場所に出て来る魔物は調べたんだけど、奥にいる魔物はまだなのよね。この後、少し調べよう。後で、って思うと忘れるのよね。


「そうだ。ベールズさん、大きな従魔でも泊まれる宿を教えてください」


「ああ、ワイルドキャットか。アスカ、今は俺が教えたローザの宿を使っているのか?」


 そうだと言うと、「あの宿なら広い部屋もあるから大丈夫だ」と言われ、部屋が空いていなかった場合に大型の従魔がいても泊まれる宿を教えてもらった。


「大通り沿いにある宿だが、貴族や商人が使うから高いぞ。1番安い部屋で、素泊まりで1泊10,000ルギは取られるって聞いたな~」


「えっ! 素泊まりで、ですか?」


 ……それは高い。ローザさんの宿が空いてますように。


 資料室で森の奥にいる魔物を調べて、ギルドを出て屋台へ向かうと、みんなからジロジロ見られる。


 ……ちゃんとエレナとレオンは、従魔登録の赤い首輪を付けているのにね。


 慣れるまでの辛抱しんぼうなんだろうけど、見世物になった気分で、この視線はエレナも嫌だろうな~。


  買い出しをして宿に戻ると、ローザさんにOKをもらいました。


「これは驚いたね! アスカ、ワイルドキャットをテイムしたのかい? そいつは、森の奥にしかいないんだよ。しかも、チビまで……可愛いね。そのチビは何を食べるんだい?」


 ローザさんのレオンを見る目が……ふふ、目尻がどんどん垂れて行く。


「生肉ですけど、森で狩った魔物を食べさせたので食事は大丈夫です」


 ローザさんに大きな部屋も開いているから移るかと聞かれたけど、寝るだけだからいつもの部屋にしてもらった。部屋代が高くなるからね。


「そうかい、いつもの部屋で良いんだね? アスカ、もし従魔のトイレが必要なら、馬小屋の隣にあるからそこを使っておくれ」


「分かりました」


 鍵を渡され部屋に向かう。


 ――魔物がトイレをするとは知らなかった。ビーさん、スラ君も私が知らない間にトイレをしていたのかな?


【アスカ、スライムは排泄をしません。基本、縄張りを主張する魔物だけが排泄をします】


 ――そっか。じゃあ、エレナは?


【ワイルドキャットは縄張りを主張するので排泄をしますが、エレナはアスカにテイムされたので今後はしないでしょう。食べた物はスラ君と同じく、全て体内で魔素に還元されます】


 ――魔素に……じゃあ、エレナもスラ君みたいにステータスが上がるの?


【はい、今以上に強くなるでしょう】


 ――それは楽しみね。


 部屋に入って、みんなに『ウオッシュ』と『回復魔法』を掛ける。自分にもね。


 バケツに水を入れると、スラ君がバケツの中に入って、気持ち良さそうにプルプルしている。ふふ。


 エレナとレオンに、今夜はこの部屋で泊まるけど、もしもトイレに行きたくなったら教えてとお願いすると、エレナはすり寄って来て私の顔を見て『ガルル』と返事をしてくれた。


 レオンも『ミャ~!』と鳴いて、部屋の中をウロウロしはじめる。レオンは好奇心旺盛なのね。


 パジャマに着替えてベッドに横になると、レオンがベッドに乗って来て、私の顔を舐めはじめた。


「レオン……」


 ここで、レオンの舌もザラザラなのねって言ったら分かってしまうのよね……少しヒリヒリしてきたので、止めさせようと頭を撫でると『ゴロゴロ……』と鳴き始めて、もっと撫でろと頭を手に押し付けて来る。


 両手でレオンの頭や顔をもみくちゃにしたら、満足したのか嫌だったのか、前脚で私の手を押さえるように払いのけると、ゴロゴロ言いながらベッドを降りていった。


 ふふ、次に顔を舐めてきたら、早めにもみくちゃにしてあげよう。



 今日は初めて狩る魔物がいたから、スキルポイントが増えたはず。ちょっと見てみよう――ステータス・オープン。

―――――――――――――――――――――――――――

名前 アスカ

経験値 1,658

HP 51/53

MP 26/79

攻撃力 E

防御力 E

精神力 B

敏捷性 C


スキルポイント 14P

【獲得可能スキル】


スキル

・生活魔法 ・異世界言語

・テイム魔法A ・風魔法B ・回復魔法B ・鑑定B

・水魔法C ・聖魔法C


【インベントリ】

【アイテム購入】

【従獣】(テイムした魔物のステータスが見られます)


―――――――――――――――――――――――――――

 経験値がだいぶ増えている。


 いつでもおにぎりが買えるように、500は残しておくって決めていたんだけど、そろそろインベントリのマスを増やそうか。森に入ってから、狩る魔物の種類も増えたからね。


 スキルポイントが14P貯まっている。どのスキルを先に『A』にするか考えないとね。後でビーさんに相談しよう。


 ……あれ? いつの間にか項目が増えている。【従獣】だって。


【はい、従魔が増えたので項目が増えました。ここを触れると従魔のステータスを見ることが出来ます】


 ――へえ~、スラ君たちのステータスが見られるのね。


 試しに【従獣】をタップすると、スラ君たちのステータス画面が横に出た。

―――――――――――――――――――――――――――

名前 スラ君 [スライムD・アスカの従魔]

HP 44/44

MP 63/63

・攻撃力C ・防御力C ・精神力C ・敏捷性D

スキル

・水耐性 ・水魔法 ・突進 ・毒耐性

―――――――――――――――――――――――――――

名前 エレナ [ワイルドキャット(雌)C・アスカの従魔]

HP 208/208

MP 21/21

・攻撃力C ・防御力C ・精神力B ・敏捷性B

スキル

・跳躍 ・風魔法

―――――――――――――――――――――――――――

名前 レオン [ワイルドキャット(幼体・雄)F・アスカの従魔]

HP 10/10

MP  5/5 

・攻撃力F ・防御力F ・精神力E ・敏捷性F

スキル

・跳躍  ・風魔法

―――――――――――――――――――――――――――

 あっ、エレナとレオンの名前がちゃんと記入されている。


 森ではじっくり見なかったけど、エレナのHPは多いけどMPは少ないのね。


 レオンはまだ子供だから仕方ないのかも知れないけど……HPが少な過ぎて不安ね。あぁ、スラ君も初めこれくらいだったかな。


 そうだ、経験値でインベントリのマスを買わないとね。

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