第24話

「う〜ん…」


夜、俺はホテルの部屋で考え事をしていた。

そう、これは世界中の機構魔獣を倒す旅。

次の目的地を決めなければならない。


グゥ〜。


考え事してると腹が減るな。

晩飯食いに行くか。

そう思い外へ行く。


「なぁ、あれリエスじゃないか?」

「え?イフリートを倒したっていう?」

「だとしたらサンダーソニアの救世主じゃないか!」


また、街中で俺のことが噂になっていた。

ペガスもキャンサもシグナも一緒だったというのに。

すると、こんな噂も聞こえてきた。


「ねぇ、知ってる?隣国のタマリンドに機構魔獣が潜んでるって噂」

「えぇ〜マジ?怖いんだけど」


タマリンドって国にも機構魔獣が?

後で調べてみよう。


―――――――――――――――――――――


夕食後、ホテルに戻り、機構魔獣の被害記録を確認してみる。


タマリンド…タマリンド…。

あった!


・アルファオメガ暦933年1月19日、タマリンドに機構魔獣「ケルベロス」が襲来。

国民や家畜、農作物が食い荒らされ、国に大飢饉をもたらした。

その後、戦闘隊により撃退されたが、現在もタマリンド内に留まっていると推測。


噂通りだ。

よし、次はタマリンドだな。


「ペガス、いるか?」

「おや、リエス様、いかがなさいました?」


「そろそろ行かなくちゃいけないみたいだ」

「…そうですか。案外早いものですね」


ペガスは少し寂しそうな表情をしていたが、すんなり受け入れたようだ。


「いつ出発されるのですか?」

「明日の朝だ。これ、今までの宿泊代だ。悪いな、何日も泊まっちまって」

「いえ、ご利用ありがとうございました!」


―――――――――――――――――――――


翌朝、ペガスが見送りに来てくれた。


「悪いな。見送りまでしてもらって」

「はい、大事なお客様ですから」


俺がウリエルに乗ろうとした時―――


「おい待てよ、リエス!」

「ひどいね、何も言わずに行っちまうなんて」

「キャンサ!シグナ!来てくれたのか!」


「当たり前だろ、お前も俺の大事な仲間だからな!」

「アタシが改修したウリエルが、飛ぶ所を見せてもらいたいもんだね」


仲間…か。

仲間と言うと、フェンリルに殺された仕事仲間を思い出してしまう。


俺は仲間たちを守れなかった。

だから、強くならなきゃいけない。

これ以上、仲間を失わないために。


「じゃあな。またいつか会えたらいいな」

「おう、俺から会いに行ってもいいぜ!」

「を気を付けて」

「頑張りなよ!」


ウリエルを起動し、飛び立つ。

さぁ、旅の再開だ。


「行っちまったな…」

「今になって寂しくなるもんだね」

「私もです」




― 第25話に続く ―

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機構魔獣戦記 神薙アリス @arisu1623

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