第23話

イフリートを討伐した俺たちは、イフリートの死体を回収するため、落下地点へ向かう。


落下地点には巨大な穴が空き、一帯の地面には焼け跡が残っていた。

イフリートは死してなお、熱と炎を発していたのだ。


「これがイフリートか」

「間近で見ると恐ろしい姿ですね」


イフリートの死体を見てみると、その姿がはっきりと明らかになった。


全長30メートルはあるであろう巨体。

人型にも見えるが、非常に恐ろしい顔つきをしており、頭に巨大な2本角が生えている。

手足は猛獣のようにがっしりしており、鋭い爪を持っている。

体色も全体的に黒く、悪魔を彷彿とさせる。


それにしても、さっきまで強力な炎を纏っていたのにイフリートの体には燃えた跡が一切残っていない。

異常なまでの耐火性能を持っているのだろう。


「で、コイツどうすんだよ?」

キャンサが聞いてきた。

「回収するぞ。死体も完全に処分しないとな」


―――――――――――――――――――――


俺たちは訓練施設に戻り、イフリートを解体する。

すると、ペガスが言った通り体内は主に機械でできており、心臓部から破壊された火力エネルギー装置が出てきた。


どうやら、脳以外の内部はほとんど機械でできており、感情はあったようだ。


「これでイフリートは体内で炎を生成していたのか」

「そのようですね」


よく見たら、これかなり良い部品じゃないか。

処分するのはもったいないな。


「これ、何かに使えないか?…あっ!」

「どうしたんだ?」


「シグナ!これをウリエルに組み込んでくれないか?」

「え?」


「ウリエルも耐火性能は高いし、内部の火力を上げれば出力も上がると思うんだが」


「組み込むと言いましても、すでに壊れているではありませんか」

「そうだよな…やっぱり無理か」


「いや、修復できるよ。待ってな、ウリエルをさらに改修してやる」


「ホントか?じゃあよろしく頼む」

「任せな!」


―――――――――――――――――――――


翌朝、シグナから連絡があった。

ウリエルの改修が完了したとのことだ。


「できたぞ、どうだ!」

「外見はあまり変わってないな」

「そう思うなら起動してみな」


俺はウリエルを起動させる。

すると何か手応えを感じる。


「出力が上がってるな」

「そうだろう。ちなみに剣にもエネルギー装置を埋め込んでおいたよ」


シグナがそう言ったので、剣を作動させる。

すると驚いた。


「剣身が炎を纏った!?」

「どうだ、すごいだろう?」

「あぁ、本当にすごいなコレは…」


剣にまでこんな改修を施すなんて、やはりシグナのメカニック技術は化け物だな。


「くぁ〜、疲れたぁ…」

シグナが倒れ込んだ。


「どうしたんだ?」

「徹夜で改修してたからさぁ、マジで疲れた。アタシちょっと寝るわ」

「帰ってから寝たほうがいいぞ」




― 第24話に続く ―

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る