第22話

もう時間がないな。

それにこっちにはもう遠距離攻撃がない。


一旦撤退して体制を立て直すしかないが、もし追ってきたら街全体は火の海になってしまう。


「ゴォォォォ…!」


イフリートは口元に炎を溜めて、ブレスを噴射した。


やはり、今までのブレスで最も巨大で高熱な炎だ。

さらにスピードも格段に上昇している。

こんなの食らえば、間違いなく終わりだ。


ブレスは真っ直ぐ向かってくる。

避けきれないな。

これで終わりなのか…?


ゴォォォォッ!

プシュ〜…


なんだ?

当たってないのか?

いや、でも確かに…


「!」 

「リエス、ペガス、無事か?」


「キャンサ!」

「キャンサ様!」


なんとキャンサがラファエルのアームで、イフリートの炎を受け止めていたのだ。


「アタシもいるよ!」

「シグナ!」

キャンサの後部座席にシグナが座っていた。


「ったく、なに俺抜きで勝手に戦い始めてんだよ」

「イフリートとは戦いたくないんじゃなかったのか?」


「あぁ、でもお前がイフリートと戦ってるって聞いたらほっとけねぇよ」

「フッ、そうかよ」


すると、シグナが…

「リエス、あんた弾切れなんじゃないか?」

「あぁ、まさにその通りだ…」


「全く…スペアの弾は持っておくのが常識なんだよ!」

そう言ってラファエルは俺にロケット砲弾を40発分渡してきた。


「わざわざすまないな、助かった」

「気にすんなって!アイツ倒すんだろ?」


「俺とペガスだけじゃ厳しかったが、今は心強い仲間が2人もいる。これで勝てるぞ!」


「ラファエル防御体制!」

ラファエルが守りの構えを取った。

これで反撃が来てもガードしてもらえる。


「せっかくのロケット砲だ!倒れるまで撃ち込んでやる!」


ドォン!

ドォン!


「グゴォォォッ!」

よし!効いてる!


「リエス、これを使いな!」

シグナがこう言って、ラファエルが何か投げてきた。

「これは…!」


再び、イフリートはブレス発射用意をする。

だが…!


「冷却弾!」

俺はシグナから貰った冷却弾を放った。

炎が急激に冷やされ、ブレスを相殺する。


「ゴォォォォ…」


ブレスを放ったことで、イフリートの火力は一時的に弱まる。


今だ!


「くたばれっ!」

俺はロケット砲を両アームで2発発射する。

イフリートの心臓部に命中した。


これでイフリートの体内にある、火力エネルギー装置は破壊された。


それに伴い、イフリートが纏う炎も急激に弱まっていき、やがて鎮火した。

力を失ったイフリートは地に落ちていく。


機構魔獣イフリート、討伐完了だ。




― 第23話に続く ―

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