第10話 リセスと旅とこれからと

 場所:ギルドの談話室


「あのー……すいません」


「えっと、私、魔法使いの者なんですが、ちょっと旅をしたくて。それでガイドをしてくれる人を探しているんですけど……」


「え、私の名前、ですか? それは、その、秘密でして……」


「旅の目的地は、そうですね。西の先にある、いつまでも暖かい国があるということで、今回はそこにいる守り神を見に行きたいんですよ」


「え? 東のコスヒ海岸ですか?」


「あれは……あれはあれで良いものだと聞いてますが……」


「(小声)実はあの後一人でこっそり見に行ったなんて、ガイドさんに言えません!」


「コホン(咳払い)」


「私、実はまだまだ世界のことを知らなくて、もっといっぱい、色んなものを見たいんです」


「北の果てには氷の大地がある、とか」


「南の国には最高に甘い果実がある、とか」


「見たいことが、知りたいことがありすぎて、いてもたってもいられないんです」


「なので、その……あの……」


「ガイドさん、これからも……私の旅を手伝って貰えませんか?」


「え? 報酬次第だって?」


 SE:硬貨の入った袋を机に置く音


「んもう! はい! 前回と同じ金額です! 足りてますよね!」


「こんな所で金を見せびらかすものじゃない? 知ってますよ! そんなこと!」


 SE:二人で走る音


「あはは、早く行きましょう。まだお父様とお母様にはバレてませんので、大丈夫です」


「これからも、素晴らしい旅が歩めると祈って」


「ガイドさん。不束者ですが、どうぞよろしくお願いします」


 終

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魔法使いリセスとのんびり冒険ライフ~実はお姫様なんだけど秘密にして旅したい!~ 九兆 @kyu_tyou

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