第二十三章

 私はきっと何処かおかしいのだろうな。 ヒバリの事がちゃんと好きなはずなのに千秋の事を抱いている。裸の女の子同士で抱き合っている。千秋の身体は暖かい。裸の女の子を抱いているのってこんなに気持ちいいんだって思うと、何だか幸せになる。

 私何処かおかしいのかな?

 やっぱりヒバリとは付き合えないのかな?

 私はふたりの事が好きだ。千秋の事もヒバリの事も好き。どちらかひとりなんて選べないけど、ヒバリには夏樹が居るから付き合えないし、なら私には千秋しか居ない。最初は本当に千秋はただの友達のつもりだったのに、彼女の優しさとか、可愛さとか、心の弱さとか、強さとか見て居たら私は千秋の事が好きになってしまった。きっとこうする方が正しいんだ。こうする方が、私も千秋もヒバリも、夏樹も幸せなんだ。そうする方が正解で、そうする方が正しいんだ。だから私は必死に千秋を求めた。


 千秋が憂いを帯びた眼で私を求める。

 彼女は私の首に腕を回して必死に快楽に耐える姿を愛おしいと思った。


 「千秋、もっと感じて良いんだよ……もっと私……」

 「い、いやだ……」


 千秋は意外なほどに強情だったが。私が気持ち良くさせると彼女は驚くほどに可愛かった。涙目で私を睨むが次第に力なくベッドに力なく寝てしまう千秋に、可愛すぎて何度もキスした。



 △


 「あんたさ、今度ちゃんとヒバリに告白しなよ。振られるにしても、なんにしても想いはちゃんと伝えなさいよ」


 翌朝の午前六時に起きた千秋は学校に行くために着替えていた。ブラを着けてブラウスを着る千秋はいつものようにしているのに、昨日あんなことをしたのにまるで別人だった。その事に寂しそうにしていたら千秋はキスした。


 「大丈夫だよ! 気持ち伝えたら私のところに戻って来な!」

 「良いの?」

 「良いも悪いも、あんな事されたら女ならあんたから離れられなくなるよ。その代わり裏切ったら許さないから、そのつもりで居なよ?」

 「うん、ありがとっ!」


 そう言って私は千秋にキスをした。

 朝から千秋とキスしたらもう離れられなくなるじゃんと思ったが私はそう思った時には既に千秋のものになっていた。


 「まったく本当に可愛い子ね! でもそろそろ着替えないと学校に遅れるよ?」


見ると時計は間もなく七時半を迎えようとしていた。間に合うか遅刻するかの時間に慌てて服を着替える。とは言ってもさっきまで裸だったのだけど……。

パンツを履こうとしている時、バランスを崩して千秋にぶつかった。頭と頭がぶつかって痛かった。

「もう、何してんのバカ!」

「ご、ごめん」

千秋は頭を抑えて怒る。

最近、私はどうかしている。気が抜けてしまったのだろうか。そう思っていたら千秋は私にキスをした。

「大丈夫、私は離れたりしないから」

「千秋……」

そう言って私は彼女にまたキスをした。


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