「惨めな最期」

___と言いたいところだが、家の場所が曖昧だし、住める状態なのかも怪しい。その上、秘書がここの団体に金をやったお陰で私は一文無しだ。食うもの着るものが買えない。”私を失望させないため”だとか言って金を浪費した秘書に腹が立った。私は、金を返しなさい。と秘書に詰め寄るが、秘書は返そうという態度すら見せず、逃げてしまった。必死に追いかけるが、四年間で衰えた筋肉量が非常に大きく、ついには逃してしまった。私は久々に走ったものだから、疲れて座り込んでしまった。その瞬間、胸のあたりに痛みを感じた。立ち上がることが出来ない!やがて呼吸が出来なくなってしまった。あと数十秒の命、なんとか立ち上がろうと身体に司令を送るが、全く動かない。何も出来ぬまま、私は敷地のなかで死んでしまった。

 私の葬儀は行われず、市民団体につばをかけられて死体は埋められた。秘書は一体どこで過ごしているだろう。私と同じ、一文無しであったはずなのに、生活ができるかという恐怖が彼にはなさそうである。中で何かしら秘書の仕事を見つけていたのだろうか。それとも、私のようにくたばるつもりだったのだろうか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

反逆者どものラジオ逃亡記 @sondnichirin

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ