第18詩 【風のささやき】


この通りの椰子の木の


懐(ふところ)深く立っていると


風が僕に


ささやいてくる



意地らしい照れた笑いが


其処中(そこらじゅう) 匂っている



海面に潜む一艘(そう)の小舟にまで


戯けてしまう


風よ!



  (始まったばかりの足跡が

      新鮮な足音を立てる……)



優しさは


ほどけてゆく



いちめんの小さな貝のうちに


しまわれてゆく



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詩集 インドスケッチ 夢ノ命 @yumenoto

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