ゴリラ+クジラ

2人、洞窟でくつろいでいる。


航:さっきのが魔族で合ってる?

恋:そうですね。見るのは初めてですか?

航:あぁ、その、俺のことは宇宙人だと思ってくれ。

恋:…そうですか。

航:今露骨に引いたよね!?

恋:そりゃ引きますよ!初対面のいい歳した大人が宇宙人宣言ですよ!?

航:俺まだ20だからね!?

恋:それでもですよ!

航:…それもそうか…。

恋:まあいいですよ。話聞くのもめんどくさいですし、宇宙人ってことにしておきます。

航:なんか酷くない!?俺命の恩人じゃなかったっけ!?

恋:まだそんな過去のこと言ってるんですか?

航:扱いがおかしい…!

恋:宇宙人さんは常識が欠けているようですが、逆に何なら知ってるんですか?

航:宇宙人さんはやめてくれ…。…そうだな、魔族とか魔法とかのことは知らないけど、後のことはなんとなく分かると思う。

恋:魔族と魔法知らないって、本当に宇宙人みたいですね。…じゃあ、魔族について話していきましょう。私が8歳くらいの頃、10年程前ですね、野生動物が凶暴化しだしたんです。最初は猟師さんが対応していたんですが、しだいに動物が魔法を使ったり異常な力を発揮したりするようになって手に負えなくなりました。その動物達は魔族と呼ばれるようになって、魔族の研究が始まりました。或る研究者が魔族の発生に規則性があることを指摘すると、原因の究明が進んで魔王の存在が判明しました。どうやら魔王は野生動物を魔族に変える術を持っているらしく、それで人間を襲わせていたそうです。そして今では野生動物の魔族化どころかキメラの製造までしています。

航:なるほど…。さっきのは野生動物?

恋:そんな訳ないでしょ。どう見たってキメラじゃないですか。

航:難しいって…。

恋:あれはゴリラとクジラのキメラですよ。

航:それって、もしかして…?

恋:えぇ、あなたでも知ってましたか。あれが「クリラ」です。

航:…。

恋:あ、でも「ゴジ〇」と呼ぶ地域もあるみたいですね。

航:言っちゃうんだ!?

恋:?

航:あ、いや、なんでもない。

恋:変な人ですね。

航:悪かったな。…でも、ゴリラとクジラのキメラにしては小さくなかったか?

恋:えぇ、魔王も試行錯誤しているみたいですね。

航:それじゃあ、成功したら相当でかいのが出来るかもしれないな。


森の中で轟音。2人、洞窟から出て何かを見つける。


航:あれぐらいでかいのが出来るかもな…。って、え!?あれ本当にそうじゃないか!?30メートルくらいあるぞ!?

恋:(目を閉じて)…。

航:え、え!どうすんの!?


恋瀬、光のビームを放つ。クリラ、ビームが当たって倒れ、地面が大きく揺れる。


航:うおぉ!?何今の!?

恋:言ったじゃないですか、私、魔法には自信があるんです。


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【戯曲】伊勢海 航、異世界に渡る。 しもに @ajtajtajtajta

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