【詩】私は壊れたオルゴール

菊池昭仁

私は壊れたオルゴール

 あなたがいれば何もいらない 傍にあなたがいるだけでいい

 あなたと一緒にいたい いつまでも どこまでも 


 あなたのコントラバスのような声に包まれて 髪を撫でられながら眠りたい


 あなたは言う


 「玉ねぎを剥いていっても 最後には何も無いんだよ」と


 それでも私は剥いてみたい あなたの心 覗いてみたい


 私は壊れたオルゴール



 鳶色とびいろのあなたの瞳に キャンドルの炎が揺れている


 ねじれた私の心 G線上のアリア


 何でも言って欲しい 私の悪いところ 嫌いなところを全部 


 私 直すから


 でもあなたは静かに微笑むだけ


 「嫌いなの? 私のことが? もう愛していないの? 私のことを?」


 あなたのすべてが私のすべて


 黒い涙 赤い月 私は壊れたオルゴール



 私はあなたを求めてばかり でもあなたは私に何も求めはしない


 欲しくはないの? 私のすべてを 


 見たくはないの? 私の魂


 私はあなたに恋をした 恋とは奪うものでしょう?


 あなたは私を愛していると言ってくれる 愛とは与えるものなのね?


 時々怖くなるの あなたのやさしさが



 オレンジ色に染まる夕焼けの道 手を繋いであなたと歩きたい


 私は壊れたオルゴール



 

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