第4話
その日、オリヴィア・スカーレットは考えていた。
自分では到底稼ぐことができない自らの食費。この問題を解決するためには、もはや魔物を食べる以外に選択肢はないのではないか、と。
魔物を食べるという選択をした場合、まず、デメリットとして挙げられるのは、まだ魔物を食べることに若干の抵抗があること。
そして、もし周囲に魔物を食べていると知られたら、良くてドン引き、下手をすれば拒絶されるというリスクがあること。
それに対して、メリットとして挙げられるのは、スキル「魔物喰らい」により魔物を食べれば食べるほど冒険者として成長できること。
そして何より、食費が無料で済むためおなかいっぱい食べられること。
ぐるるるるるるううううううううううううううううう!!!!
その時、彼女の腹が激しく鳴った。
先日のクエストで得た報酬は微々たるもので、ギルドドクターの診察料でほとんど消えてしまった。そのため、エビルツノガエルを食べて以来、彼女はまともに食事を取れていなかった。
(何も気にせず、おなかいっぱい......)
彼女はよだれを垂らしながら、魔物を食べることを決意した。
***
この前エビルツノガエルを食べたときは、極度の空腹、食材の上質さのおかげで生食しても美味しく食べることが出来た。しかし、これから魔物を常食するとなると、全て生のままというのは流石に辛いものがある。
どうせ食べるなら、おいしく食べたい。
そう考えたオリヴィアは、ダンジョンの中で、魔物を調理することにした。
台所まで来た彼女は、実はほぼ四次元〇ケットのような便利魔道具であるアイテムバッグに、調理に必要な道具類を入れていく。
まずは、両手鍋、フライパン、包丁、全自動たまご破壊機、まな板などといった最低限必要な調理器具。
次に、皿、箸、コップ、取り箸、ナイフ、菜箸、スプーン、ねぶり箸などといった食器。
そして、最後に調味料。 一つ一つの調味料を手に取りながら、彼女はその使い道を想像する。
まずは、わさび。
(魚系の魔物がいたら新鮮な刺身が食べたい。新鮮な刺身にわさびとしょうゆをつけて......あぁ想像しただけで美味しそうだ)
ぐるるるるるるううううううううううううううううう!!!!
彼女はわさびをバッグに入れた。
次に、からし。
(からしは何にでも合うからな。からしマヨネーズ、からしドレッシング、からしシュークリームなんかもいいな......あぁ美味しそうだ)
ぐるるるるるるううううううううううううううううう!!!!
彼女はからしをバッグに入れた。
そして、タバスコ。
(そのまま飲もう)
ぐるるるるるるううううううううううううううううう!!!!
彼女はタバスコをバッグに入れた。
その後も他の調味料をバッグに詰め込み、魔物調理の準備を終えたオリヴィアは、明日から始まる待っている満腹魔物食ライフに思いを巡らせ床に就いた。
同日、オリヴィアが住むギルド寮では、謎の爆音が何度も響く異音騒ぎが起こっていたらしいが、結局その原因はわからずじまいだったという。
オリヴィア・スカーレットは喰らいたい 〜魔物を食べれば食べる程強くなる美少女のほのぼのチート冒険譚〜 @yanagi0940
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