第3話 苦手な人

「あっ」


『………っ』


 ぼーっとし過ぎて誰かとぶつかる。しかも結構派手にぶつかってしまった俺はとっさに相手に謝る。


「ごめん。大丈夫?」


『…………』


 反応は無し。そのまま行ってしまった。


 ぶつかってしまったのは社内の女の子。

 彼女の名前は高梁(たかはし)さん。

 長髪に眼鏡をかけた、ちょっと性格が暗めの女の子。歳は恐らく俺より少し下くらいか。

 同じ部署ではあるが、俺と言葉を交わした事は殆ど無い。

 声をかけても返事が返って来ないか、最低限の言葉しか返ってこない。

 ただ他の人とはそれなりに話をしているのを見る。

 特に何かあった訳でもないが、もしかして嫌われているのかもしれない。

 正直苦手なタイプだ。


 俺はその場から、もう一度「ごめんなさい」と大きな声で声をかけておく。


 後で恨まれてたりするのも怖い。

 よく池田が自らの体験談で異性とのトラブルを語ってくれるので、俺はそうはならない様常日頃から心がけている。


 例として、浮気して彼女に手をフォークで刺されたとか、別の彼女には家の食器を目の前で割られ続けたとか、聞いてるだけで恐怖するトラブルばかりだった。


 友達ではあるけど、彼の様にはなりたく無い。

エピソードを思い出す度そう思う俺であった。

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格闘と僕(仮題) ゔぃれ。 @vilettaprisken

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