Track.8:<現実>ツンツン後輩といつもと少し違う部室。

//SE:教室の扉が開く音

//先輩(リスナー)が部室の扉を開けると後輩が席に座っている。


お疲れさまです。


ええ、今日も私と先輩の二人だけです。

残念ながら。


……先輩、その。

昨日夢を見ましたか?


……やっぱり覚えてないよね。


何でもありません。


そうですか。

心身の調子が整ったなら何よりです。


確かに早く寝るように言ったのは私ですが。

私のおかげなんて、大げさですよ。


私は何も……。

何もしてませんから。


泣きそう、ですか。


……そうかもしれません。


でも、約束したから。

頑張るって言ったから。


せ、先輩、あの。


少しお話したいことがあるんです。


はい。

その、私、先輩のことが好きです。


信じ、られないですよね。


大丈夫、当然のことなんで。

忘れてください。


え、先輩、今なんて。


「今度は」忘れないって……。


言いましたよ。

言いましたー。


ふふ。


ええ。

私、ずっと先輩のことが好きでした。


だって、こんな私に優しくしてくれて。

あったかい笑顔を見せてくれて。


頼りなさそうに見えるのに責任感があって、しっかりしてて。

頑張り屋さんで。


私、どんどん先輩のこと好きになりました。


でも、私素直じゃないから。

先輩から拒絶されるのが怖くて、いつもひどい態度ばかり。


ごめんなさい。

こんな後輩から告白されても、困るだけですよね。


でも、伝えたかったんです。

聴いてくれてありがとうございました。


先輩も、私のことが……?


本当、ですか?


そんなに強く頷いて。


夢と一緒だ。


ええ。


その、では、恋人になってもらえますか?


わわっ、やっぱり大きな声。


デジャビュとも未来予知とも違うんですが。

でも、そうですね。


やっぱり先輩には知ってもらいたいな。


先輩、今から不思議な話をします。


ええ、私の秘密です。

普通は信じてもらえないような。


でも、先輩だったら信じてくれるって思えるから。


そんなに難しい顔をしないでください。

少し不思議なだけの話です。


はい、私と夢について。


それから、先輩と私の大切な昨日の夜の話です。


≪END≫

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俺のことが嫌いな後輩がやさしく癒してくれる夢のような夢。 針間有年 @harima0049

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