第2話

 その後も彼らは二人きりで逢瀬を楽しんでいたようですわ。


 私を慕ってくださる方々が私に情報を届けてくれますの。


「〜であなたの婚約者、女性と一緒にいたけれど…大丈夫?」

「サンダーソニア様、あなたの婚約者様がご令嬢とご一緒されていましたが…」


 などなど。

 私の周りにいる方々は優しいのですね。


 まぁ、事実か否かは私が直接確認させていただきましたが。


 結果事実でしたのよねぇ。


 派手に噂は流れ、私に関する風評被害が現れるとか。

 同情する者が現れたり。

 反対に利用しようとする者が現れたり。


 私、人間不信にちょっとなりかけましたわ。


 皆様の言われることを信じても良いのか、まず悩み。

 信じようと決めたら嘘とか。

 心折れますわよ?


 ああ、あの二人の逢瀬の一部始終を少々本日は語りましょうか。


 ◆──────◆

 とある夜会でのことですわ。


 この時はまだ私のことを婚約者だと認識していたようでして。

 一応、エスコートなどはしてくださいましたわ。


 その後も特に無礼にあたるような行為は見受けられず。


 終わろうとした…時ですわ。

 例の彼女が現れたのは。


「ローレル様、この間はありがとうございます」


 ニコニコとした笑みを浮かべ彼女はこんなことを言ってきたのですわ。


 終わりも終わり、私たちが帰ろうとしている時に。

 引き留めるかのように、彼女は。

 喋りかけてきたのですわ。


「ああ、チェンか。この間の件の礼を言いにきてくれたのだな。よし、ソニア。お前は帰っても良いぞ」


 …絶句するほかないお言葉を私はこの時ローレル様から賜りましたわ。

(ローレル様?なぜその女を呼び捨てにしたので?そも、私が帰る時はあなたと一緒に帰るのが通常なのですが。この間の件とはそもそもなんでしょう?私そんなこと一言たりとて聞いていないのですが…どうなっていますの?)


 この時はまだ、他の者から例の彼女に関する噂を聞いていませんでしたゆえ。

 私は大変混乱いたしましたわ。

 それに婚約者殿と彼女の繋がりが分かりませんでしたからね。

 本当に青天の霹靂状態でしたわ。


「え、ええ。わかりましたわ、ローレル様。先に帰らせていただきます」


 そう言って私は帰りましたわ。


 ……真に青天の霹靂と言うべきは彼女らの恐るべき行動力であり。

 その結果起こった権力を恐れぬ、大事件に対していうべきなのでしょうね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

愛っているのでしょうか? 猫月蘭夢@とあるお嬢様の元飼い猫ショコラ @NekotukiRmune

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ