4 分岐点に立ち


 存在価値を考えた。自尊心が傷ついていたのだろう。

意識しないようにしていても、きっと脳のどこかは知っていて、そうして精神と体調に影響を与えていたのだろう。

必要に迫られて、嫌々勤めを果たすべく、働くもの食うべからずの教えが染みついている自分は動く。3つ子の魂100までだ。

自分だけで思考すると、考えが纏まらない。同じ道を不毛にグルグルと廻るだけ。そして新しい視点も発想もない。心が疲れていたし、社会人としての面で諦めしかなかった。

就職カウンセリングで出会った方が上手かった。

自分も状況を打開するために心を開いて話せたことも良かった。会話の中で、自分のしてきたことを振り返り、誰かと比べてとかではなく、自分は頑張って来て積み重ねてこられたものもあることを思い出せた。そうして、どうしたいかどうなりたいかに繋げることが出来た。

希望というほど大げさではないけれど、先が見えなくてただ、そうすべきで行動するには原動力もなく、義務感で選択すると同じことを繰り返すだけのように思えて、なるべく自然に本来の自分に近い形で決めることが肝要だと感じていた。

戻ってきた地点は、やはり自分なりに誰かの役に立つことが、これまでの自分に与えられた幸運のお返しのように思っていること。

親切にされたなら他の誰かに親切にし、それが周り廻っていくという話に着地した。

 

 これまでも、気の合わない人はいくらでも居たし、そんな中でも他の人たちに助けられることで過ごせてきた。狭い環境で他の人たちの関与がない状況は不健康で自分には向いてないのかもしれない。

少しずつ具体的になってくる。少しずつ考えられるようになってくる。

やはり私は調子を崩していたのだろう。

そこに居るときにはわからない。

相手にも不健康な心持にしていたのかもしれないし、離れることはとても大切で、続けることの美徳は時と場合による。それよりは考え続けることをしなければならず、それが出来なくなることは危険信号なのかもしれない。


 責任を負える範囲の仕事を選択しよう。もうここまでくるとそんなに伸びしろもないしありのままを受け入れてもらえるところへ行き、自分のできることをし、余暇を楽しめるようにしたい。

そう考えられることは、幸せなのかもしれない。

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