SPEED.13 速いだけが取り柄じゃなさそうだな

うちのショップでは社用車としてキャラバンを使っているが、チューニング以外にも車の修理などを受けているため、様々な車に乗ることが多くある。その中でもMTが一番多い。



例えば、今入ってる事故車でいえば『ホンダ・バモス』(2010年式)や『トヨタ・イプサム』

(1996年式)、『アウディ・R8』(2015年式)と

様々な年式、メーカーの車が入っている。



一年前くらいにはライカン・スーパースポーツの修理を依頼されたことがあった。あの時はとてもヒヤヒヤした。



その夜、ある速い車に出会った。



その車は日産・180sx。おそらく1991年式のモデルだろう。色はミッドナイトパープルだ。


エアロパーツやスポイラー、さらにカーボンボンネットと改造は本気ガチのもの。



少しアクセルを踏み、横に並ぶ。どんな奴が乗ってるんだ?「若いな。20はたちぐらいか。」俺の目にはそんな歳くらいの男に見えた。



するとこちらに気づいたのか彼は顔を横に向けた。すると、180sxはスピードを上げ俺の横から消えていった。とても速かった。




これは速いだけが取り柄じゃなさそうだな。

そう思った。追いかける気にもならなかった。



俺は330km/hからスピードを落とし、250km/hで大黒に合流した。次に会ったら容赦しない。



今日は少し、調子が悪かったのかもしれない。




いつもなら、追い回してバトルの申し出をしているはずだが相手が悪すぎてそんな気にはならなかったのである。




はぁ。少し疲れているのかもしれない。今日は早めに切り上げて家に帰ってきた。



しかし、なんだあの180sxは。初期状態でも175PSであり、某峠漫画にも出ているように

FRのため、ドリ車としての需要が高かった。



一体どんなチューニングがされているのだろう。次また会う機会があればエンジンを見せてもらいたいと思い、毎日走ることに決めた。




その時は次の日にやってきた。



ミッドナイトパープルの車体で同色のネオン管を輝かせたその180sxに遭遇できたのだ。



そいつの前に出て俺はハザードを焚き、手招きする。どうやらしたいことが分かったようだ。



俺の指示通り、その180sxはついてきた。




そして、走り屋の聖地『大黒PA』に車を停める。「急にごめんね。ついてきてもらって。」



俺は車を降りて開口一番に謝った。




その後、色々なことをお互いに話した。



彼の名前は、島本智矢。18歳の若葉兄ちゃんであり、父親に180sxを買ってもらったそうだ。



今はこの180sxも300万を超える高額商品となっており、車好きの若者は頭を悩ませている。



話を聞いて分かったことがある。それはエンジンだ。なんとエンジンはCA18DETTが載せられておらず、RB26DETTエンジンが載せられていたのだ。これは誰が見ても速い車と思える。



エンジンを載せ替えて180sx改R32GT-Rというバケモノを作り出したのだ。


R32GT-Rも90年代は300万円ほどで売られているのがほとんどだったが、今はもうそんな時代は来ないだろう。安くても3000万台が普通だ。



ケタが昔とは一つ違ってしまった。スカG好きの若者からするとこれまた難しい問題だろう。



俺も新車同様のものを8000万弱で買った。

そこからチューニングを重ねていったところ、1億以上払っていることに気づいた。


まぁ、うちはばあちゃんと爺さんが金融業を営んでいたからお金持ちというのもあって、自分のところからは出ていないんだけどな。




そんなこんなで2台の34GT−Rには8億円ほどかけて今に至っているというわけだ。




そもそも爺さんがいなかったら、こんなにチューニングするためのお金なんてどこから持ってこれただろうか。爺さんに感謝しかない。




今でも爺さんはRX-3に乗っていてマツダ党である。日産には乗らないのかって聞いてみたけど乗るなら『プリンスグロリア スーパー6 (1967年式)』に乗りたいと言っていた。



流石に2024年の中古車市場には出回っていないけれど、雑誌などを見て楽しんでいるそうだ。



さっき会った180sxもなかなかのチューンドカーだったが首都高エリアにはもっと凄い奴らがいると思っている。そんな奴らに会いたい。




そんな時、俺は大黒PAにいた。



「よっ。調子はどうだ?」


この男は?































































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湾岸戦走 滝春川れもん @ae86gt-apex

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