最良の道
ピチャ
最良の道
私の生きてきた隣には様々な道があったのだろう。
その道で私はたくさんの失敗をしてきたはずだった。
だが今の私は生き延びている。
そして他の道を認識していない。
それは私の通った道ではないので、私の記憶にはない。
記憶にあるのは、生き延びてきた道である。
ここが最良の道であったからここで生きているに違いない。
人に支えてもらってきた認識もない。
しかし実際には、ベビーシッターがいて、教育係がいて、友人やクラスメイトがいて、習い事の先生がいた。
これは必ずしも別人ではない。役割の名前で、本人の名前ではない。
例えばベビーシッターと教育係はともに親である。
生き延びてきたということは、役割をこなしてくれた人たちが、最低限以上の活躍をしてくれたということだ。
その時点で私は一人ではない。
私は親が嫌いだ。
強く感謝はしていて、私に教育投資をしてくれていたのは知っている。
私はこの国の教育が好きだからである。
放っておけば知識を与えてくれて、成長を感じられる。
非常に、楽だ。
その楽な道を歩いていれば、失敗も少なく、最頻値に近い個体となる。
それが現代ではサラリー・マンである。
何もしたいことがなくても賃金をもらうことができて、生活ができる。
とりあえず国民はそのようにしておけばよく、経営者たちにはありがたい。
したいことができたときに退職し、経営を始めればよい。
それがこの国の教育である。
しかしながら、教育が好きであれども、嫌いなものはある。
私には親がよくわからなかった。
必要ないのに人を傷つけたり物を乱雑に扱うことがなぜ起こるのか、理解できなかった。
話したら解決するとも思えなかった。
だから私は感じることをやめた。
最良の道 ピチャ @yuhanagiya
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