本気にならない生活

白鷺(楓賢)

本編

本気になると失敗する。それは私にとって、繰り返し経験してきた現実だ。本気になって真面目一本で取り組むと、どうしても見落としが起こり、それが失敗に繋がる。だからこそ、遊び心や、少し力を抜いた軽い気持ちで物事に向き合うことが、私には大切だと思っている。


一般就労していた時や、就職活動で職場を転々としていた時、私は本気にならざるを得なかった。「真面目に、真面目に」と自分を追い込み、結果としてミスが増え、さらにそのミスが恐怖心を呼び起こし、状況はますます厳しくなっていった。心は常に張り詰め、息が詰まるような感覚に襲われる日々だった。


そんな中、障害者手帳を取得し、就労継続支援B型事業所に通い始めたことで、少しずつ肩の力を抜いて働くことができるようになった。ここでは、本気にならない働き方が許されている。もちろん、適度な努力は必要だが、どこかで余裕を持つことが求められている。結果、ミスはかなり減り、恐怖心に縛られることも少なくなった。


しかし、時折、以前のように本気になろうとする自分が顔を出す。そんな時は深呼吸をして、少し休憩を挟むようにしている。「本気にならない」ことを心がけることで、視野が狭くならず、ミスも避けやすくなるのだと思う。


ミスをしない人なんていない。それは私も含めて、誰しもが経験することだ。しかし、回避できるミスはある。そういったミスを防ぐためにも、一点に集中し過ぎないこと、適度なゆとりを持って生活することを大切にしている。


だから、私は「本気にならない生活」を選んだ。本気にならなくても、誠実であれば物事はうまく進むし、その方が心の健康にも良いと感じているのだ。これからも、自分らしいペースで、本気にならない生活を続けていきたいと思う。

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