第12話

 そこからは、もうドタバタだった。


 基本立ち入り禁止の屋上に入ったのと、危険な行為をしたことで笹原さんは先生に怒られたし、僕も不法侵入したとして母さんも学校に呼ばれて平謝り。でも、生徒の命を救ってくれたからと、あまり咎められなかった。


 あとから笹原さんに聞いた話だと、あの三人も、今回の騒動でいじめをしていたことがバレて、ひどく怒られたらしい。そこからは笹原さんへのいじめも止まって、笹原さんは学校に通えるようになった。


 だからカフェでの待ち合わせはなくなったけど、凪さんとは頻繁に連絡を取りあっている。凪さんの児童小説も、中間選考を突破していた。



 それから何年か過ぎた。高校を卒業して専門学生になった僕は、行きつけの本屋にいた。


 今月の新刊が並んでいる棚から、一冊の本を取り出す。表紙ににテニスラケットを持った男の子と女の子が描かれている児童小説。笑顔の女の子の横には著・笹原凪と書かれていた。


 微笑んだ僕は、別の本を取り出した。仄明るい空の下、制服を着た女の子が佇んでいる。表紙には、「トワイライト」と書かれていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

トワイライト 瑠奈 @ruma0621

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ