第4話

午後1時30分


店員が開始の合図と共にストップウォッチを作動させ、60分間の食べ放題が始まる。


俺は即座に皿を取り、目の前の肉料理コーナーに足を運ぶ。


そこにはシェフが目の前で焼いたステーキ、

油がジュワジュワと音をたてる唐揚げ、

きれいに層の分かれた豚の角煮、

赤身の映えるローストビーフなどが置かれていた。


俺はごくりと唾を飲み込み、大量の肉料理を皿に盛り付けると、まだご飯を取っていない無い事を思い出す。


(しまったな、ここでタイムロスしてしまうとは…)


このままご飯を取りに行くか迷ったが、

両手で持つのは厳しいと判断し、一旦机へ置きに行く事にした。




なぜ、同じミスでタイムロスをした?

なぜ、もう一度肉料理を食べている?

皆がそう思ったことだろう。


彼、九井ここのい新保しんぼは自分の能力のに気付いていないのだ。


それは、2回以上ループするとループ時の記憶が無なくなる事。

分かりやすくするとこうだ



ビュッフェ 1回目


↓ ループ使用


ビュッフェ 2回目


↓ループ使用


ビュッフェ 1回目?



彼はこの欠点を知らずにループを多用した。

そもそも、これが何度目かすら分からない。


欲張った結果、彼はループの度に全てを忘れ、永遠にビュッフェを楽しむのだ。

まさしく無限ビュッフェ



「お、カレーもあんじゃん」


そう言うと、彼はカレーを取りに向かった。

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無限ビュッフェ 鈴鹿 葦人 @hituki-nozomi

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